日本では終戦記念日の 8 月 15 日。
この日は、カトリックの国では、聖母マリアが肉体を保ったまま昇天したことを記念する聖母被昇天祭の日とされています。
聖母被昇天大聖堂を街の司教の座とするドゥブロヴニクでは、厳粛な式典でこの日をお祝いするのが通例。
今回は、このドゥブロヴニク旧市街での聖母被昇天祭をご紹介します。
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聖母の被昇天とは
聖母の被昇天とは、カトリックの聖母マリア信仰の一部で、聖母マリアが最後の時を迎えた時、肉体を地上に残すのではなく、肉体ごと天に召されたという伝承のことをさします。
聖書にはっきりと明記された出来事ではなく、もともとは民間信仰や伝承にルーツがあるとも言われています。
しかし広く人々に支持され、中世ごろから、正式な教義として取り入れられ、教会で祝われるようになりました。
ドゥブロヴニクの聖母被昇天祭
ドゥブロヴニクは、守護聖人とされるのは聖ヴラホで、旧市街内のメイン広場、ルジャ広場にある教会も聖ヴラホ教会です。
しかし、街のカテドラルであるドゥブロヴニク大聖堂の方に祀られているのは、聖母の被昇天なのです。
また、よく見ると、聖母マリアは、ドゥブロヴニク旧市街のメインゲート、ピレ門を入ってすぐの石壁に小さな聖母マリアの絵画が飾られています。
しばらく観察していくと、地元の人の中には、この絵の前で十字を切り、その手にキスをしてから旧市街に出入りする人がけっこういるのがわかると思います。
聖母マリア信仰は、この街にとっても、たいへん重要なものなのです。
さて、そんなドゥブロヴニクですので、この聖母被昇天祭も非常に厳粛に行われる宗教行事の一つ。
8 月 15 日になると、聖母マリアの描かれた絵を教会から運び出して旧市街を練り歩き、信者に祝福を与えるのが慣例となっています。
夜、旧港に修道士と司祭が揃う様は、知らずに見かけたらちょっと驚くような厳粛な雰囲気。
中世の街並の中で執り行われるこういった行事、カトリック信者でなくとも、おのずと厳かな気持ちになりますね。
守護聖人、聖ヴラホの祝祭と並び、この聖母被昇天祭は、ドゥブロヴニクの観光地としての顔の裏にある、歴史と伝統を守って暮らす人の住む街の一面を見られる、非常に貴重な機会。
もし、このお祭りの日にドゥブロヴニクに居合わせたら、その、普段あまり見られない一面、じっくりと見守ってきてくださいね!