シーズンオフのドゥブロヴニクの楽しみ方

ドゥブロヴニクと言えば…ヨーロッパでは「夏のリゾート」というイメージが定着しています。
7 〜 8 月のピーク時には、身動き取れないほど混雑することも!

逆に、シーズンオフ、特に冬のドゥブロヴニクは静かで閑散としていて、とても穏やか。夏とはまた違った魅力がいっぱいです。
この記事では、シーズンオフのドゥブロヴニクの楽しみ方を提案します!


iStock. by Getty Images ポートフォリオ:Mari_mjx
Instagram Profile:@marimjx 


冬季限定: 無料シティツアーに参加する

ドゥブロヴニク市観光局では、11 月から 3 月のドゥブロヴニク・ウィンター・フェスティバル開催期間限定の無料シティーツアーを実施しています。
このシティツアー、無料なのに、有資格の英語ガイドがつき、ドゥブロヴニクの見どころを案内してくれるという太っ腹なもの。

参加はとても簡単。希望日の前日(金曜日)の 18 時までに、ピレ門前の観光局オフィスで参加申し込みを行い、当日朝 10 時に集合場所(ピレ門前)に行くだけです。

なお、前日までに現地で申し込みをすることができない場合は、E メール、または電話での問い合わせも可能。観光局のサイトをチェックしてみてください!


ストラドゥン(プラツァ通り)のクリスマスマーケット

ドゥブロヴニクのメインストリート、ストラドゥン(プラツァ通り)では、ここ毎年、クリスマスマーケットが開催されています。
11 月にはアドベント(待降節)の飾り付けが始まり、12 月になったらもう完全にクリスマス気分!

期間中、ストラドゥン(プラツァ通り)の両脇にはクリスマス仕様の出店が出され、クリスマスグッズやスナックなどが並びます。

ストラドゥン(プラツァ通り)を端まで歩くと、大きなテディベア、「メド(Medo)」くんがお出迎え。ちょっとクタッとした感じの、なんとも愛嬌のある巨大ベア、見つけたらぜひお膝に腰掛けたり、横に並んだりして記念撮影しましょう。

冬になると現れるこのベア、だんだんドゥブロヴニクの冬の風物詩としてお馴染みになりつつあるので、よい記念になると思います!


子どものためのウィンター・フェスティバル

ドゥブロヴニク・ウィンター・フェスティバルのプログラムの中に、たくさん子ども向けプログラムが存在します。
旧市街でも、ドゥブロヴニクの伝統的なクリスマスソングを習ったり、ケーキやお菓子がもらえたりするイベントがあり、子ども達にとっては、この時期のドゥブロヴニクはまさにテーマパークのよう。

ドゥブロヴニクの人々はとても子どもに寛大なので、言葉がわからなくても楽しめるもの、たくさんあると思います。
お子さん連れの方、ぜひ探してみてくださいね。

また、ドゥブロヴニクでは子どもたちの方もとてもオープン。
観光客でも地元の人でも分け隔てなく話しかけて来たりするので、子ども連れでなくても、子ども好きの皆さんもきっと幸せな、和やかな時間を過ごせると思います。


ドゥブロヴニクで新年のカウントダウン

ドゥブロヴニクの旧市街では、大晦日から新年にかけて、イベントが目白押し。3 日間に渡ってイベントが続きます。

30 日には、ストラドゥン(プラツァ通り)でクロアチアのポップシンガー、ロックグループによるコンサート。

31 日は、朝から伝統的なアカペラ歌唱、クラパのパフォーマンス!
そして、昼に子ども向けのパフォーマンスを挟んで、夜はクロアチアの人気 DJ やパフォーマーによるショーやクラブイベント。

1 日の正午には、ドゥブロヴニク交響楽団のコンサートが、同じくストラドゥン(プラツァ通り)で開催されます。
その後、シャンパンと牡蠣がふるまわれるという、素晴らしい新年😍

日本の大晦日、お正月とは全く違った趣にはなりますが、こんな年越しも、時にはいいんじゃないでしょうか?


混雑なし!徒歩ツアーでドゥブロヴニク通になる

質の高い現地ツアーの数々は、ドゥブロヴニクの楽しみの一つ。

ドゥブロヴニクの主要産業は観光業。
昔から観光業がずっと経済の一つの柱だった都市なので、競争は激しいものの、長く生き残るためにはよりよいサービスを提供することが一番、と考える真っ当なツアー会社が沢山あります。

また、クロアチアではガイドとして営業するためには国家資格が必要。
ちゃんと勉強をして、試験を受けているので、知識も豊富だし、説明もよどみなく、言葉もわかりやすく、かつ面白いエピソードなども挟んでくれ、勉強になる上、楽しい!

ちなみに、英語でも、彼らもほとんどはネイティブスピーカーではないため、英語ネイティブが使いがちな口語的表現はあまり使いません。
発音も、クロアチア語がローマ字的に見たまま読む言語である影響で、英語をローマ字読みしてしまいがちな日本人と似たような発音の間違いをしがちで、日本人にはかえってわかりやすかったりします。

また、「日本人は異常に英語できない」と世界中で思われているため、こちらがわからないことがあったらゆっくり言い直してくれる人が多いです(それでもわからなければ多分あきらめちゃう)。
ですので、そんなに英語が得意でなくても、なんとなーく分かることもあって楽しめるのではないでしょうか。

ドゥブロヴニクは、歴史的な建造物がギュッと程よい大きさのエリアに詰め込まれ、掘れば掘るほど深くなる宝箱のような街。
歴史好きな方は特に、「街並がきれい!」と感激するだけではもったいないです。

世界に先立って孤児院や老人ホームを作ったり、奴隷制を廃止したり。
周りの国や都市が軒並みオスマン帝国やヴェネツィア共和国に制圧されていく中でしぶとく独立都市国家として数百年も生き残ったり。
イスラム教圏とキリスト教圏の境目にあり、時期によっては完全に周囲をイスラム教圏に囲まれてしまうこともある中、異教に寛容な姿勢を見せ、旧市街内に中世からモスクやシナゴーグがあったり(両方現存していて、現役)。

英語で検疫を意味する「quarantine」の語源となった、先進的な検疫システムを作り上げたり。
検疫については、今も旧市街の城壁外に現存する、4 つの部屋に別れた細長いラザレティという建物が検疫所なので、ドゥブロヴニクにやってきた人は、ここで 40(イタリア語で quaranta)日間ここに閉じ込められることになっていました。
10 日間無症状なら次の部屋に動いていくシステムで、ここから脱走したら死刑というかなり厳しい罰が待ち受けていたそうです。

なおこの検疫については、日本の Wiki だと「ヴェネツィア共和国のラグーサ港」と書かれていますが、「ラグサ」はドゥブロヴニク共和国のイタリア名で、正しくはこれ、ドゥブロヴニクの功績ですね。

この他にも、とにかく面白いエピソードだらけのドゥブロヴニク、この面白さを深掘りするには、人が少ない冬の間がベストです!!
ガイドさんも働きづめではない時期なので、余裕があって優しいですよ。


本格的な装備不要。お手軽ハイキングを楽しむ

ドゥブロヴニクの絶景スポットといえば、まず名前が出てくるのはスルジ山でしょう。
通常はケーブルカーで登るこのスルジ山、実は徒歩で登ることもできます。

スルジ山、振り返って北側を見ると、すぐそこの山並はもう隣国ボスニア・ヘルツェゴヴィナ領内。
そして、東側には美しい湾や入り江、そしてやや標高の低い山の続くジュパ・ドゥブロヴァチュカ。
その先にかすかに見えるオレンジ屋根の連なりはツァヴタットの旧市街。西側に目を向ければ、ラパド半島、ペリエシャツ半島、そしてその先のアドリア海に浮かぶのはエラフィティ諸島

傾斜がけっこうきついので、夏の暑い間に登ると非常にきつい…。
冬で、風が強くない天気のよい日は、絶好のスルジ山登山日和です!

また、ドゥブロヴニクからバスで 30 分ほど行ったところにあるツァヴタット周辺も、ハイキング向きのコースが沢山あります。

一番気軽なものは、ツァヴタットの旧市街付近の小さな半島を周る 30 分程度の遊歩道。
2 つある半島それぞれの周囲に遊歩道があり、どちらも美しいです。

また、もう少しチャレンジングなコースでは、ツァヴタットを守るようにそびえるコナヴレの山地に複数存在するハイキングコース。
こちらは 1 〜 2 時間から半日程度、上り下りがあり、イノシシなども生息している本物の自然のど真ん中に踏み込むようなルートも多くあります。

どのコースにしても、ツァヴタット(コナヴレ)観光局がしっかり地図を用意してくれている上、いざとなったら途中で近くの道路まで出ていって、バスなりタクシーなりを使えるという気楽さがたまりません。

もちろん水は持参する必要がありますが、たいへんお気楽にハイキングに出かけられ、しかもアドリア海も山も一度に楽しめ、絶景スポットで好きなだけ長居して写真をとったりすることができる。
なんだったら、ついでに、この地域に多数ある、観光地化されていない遺跡まで歩き、悠久の時に思いを馳せてもいい。
浪漫です。

アウトドア好き、写真好きな人は、熱射病の心配もなく、凍える心配もないポカポカの冬の日のお手軽ハイキング、ぜひお試しください。


ベストシーズンは 3 月!オイスターフェスティバル 2 連発

「ドゥブロヴニクに来たら牡蠣!」と言われたら、「うんうん、そうだよね」と頷く方がいる反面、「え、そうなの?」という方、どちらもいらっしゃることでしょう。

実はドゥブロヴニクでは、牡蠣が非常にポピュラーなんです。

ドゥブロヴニクから車/路線バスで 30 〜 40 分ほど西へ向かったところに、ペリエシャツ半島という細長い半島があります。
日本での知名度はあまり高くないものの、こちら、非常に、とっても、素敵なところです。

まず、ペリェシャツ半島は、クロアチアを代表する赤ワイン産地。
クロアチア固有種を使った、非常に美味しいワインが多くつくられています。

また、ペリェシャツ半島入り口の街、ストンでは、中世からの伝統的製法で作られる甘みのある美味しい天日塩も生産されています。
ストンは、変形した五角形で、遠くから見ると星型のようにも見えるユニークかつ長大なストンの城壁があることでも知られています。
しかも、クロアチアで一番の牡蠣とムール貝の産地でもある!

のんびりしたシーズンオフの旅は、ペリエシャツ半島まで足を伸ばし、ストンの城壁の見学ついでに牡蠣の産地、マリストンでとれたての牡蠣を堪能するのにピッタリ。
しかも、ストンの牡蠣は冬から春にかけてがベストシーズン。
世界トップクラスの水質のマリストン湾でしっかり育ち、甘みたっぷりになるのです!
そのため、3 月には、マリストン、続いてドゥブロヴニクの計 2 回、牡蠣祭が行われています。

メイン会場となる広場(ドゥブロヴニクではストラドゥン(プラツァ通り)とルジャ広場)は牡蠣とワインが文字通りてんこ盛り。
牡蠣を食べるだけでは飽き足らず、ダンスパフォーマンスから牡蠣生産業者によるプレゼン、ワインと牡蠣のベストマッチを競うコンテストまで、全力を牡蠣につぎ込む週末が連続 2 回やってくるのです。

牡蠣好きの皆さん、日付をチェックして、日程をあわせてご訪問くださいね!


聖ヴラホの祝祭:ディープなドゥブロヴニク文化に触れる

ドゥブロヴニク旧市街に入る時、門の上部、または周辺をチェックしてみてください。手に杖とドゥブロヴニク旧市街の模型を抱え、司教の冠、ミトラをかぶった老人の像がみえるはず。
この老人こそ、ドゥブロヴニクの守護聖人、
聖ヴラホです。

聖ヴラホは中世のドゥブロヴニクに現れ、敵の奇襲を知らせてドゥブロヴニク共和国を守ったと言われています。
そのため、ドゥブロヴニクの守護聖人とされ、ドゥブロヴニク共和国の自由の象徴として深い敬愛の対象となってきました。

聖ヴラホは、背の高い帽子(ミトラ)をかぶり、両手にはそれぞれ、笏とドゥブロヴニクの模型。一度この特徴を覚えると、ドゥブロヴニクの街中に聖ヴラホの像やモチーフがあるのに気がつくはず。
年代も、スタイルもさまざまですが、すぐに聖ヴラホだと見分けられます。

さて、それだけ愛されている聖ヴラホですので、2 月 2 日 から 3  日にかけて行われる聖ヴラホの祝祭は、ドゥブロヴニクにとって最も重要なイベント。
2009 年にはユネスコ無形文化遺産にも指定された、ドゥブロヴニク独自の文化です。

観光地化、商業主義が進みすぎている、との評もあるドゥブロヴニクですが、この聖ヴラホの祝祭は、そんなドゥブロヴニクの、全く違う一面を垣間見ることができるたいへん貴重な機会。

日本のお祭りも同様に伝統文化ですが、日本の場合、伝統様式は残しつつも、本来あったはずの宗教的な色合い、宗教上の情熱は失われていることが多いように思います。
これに対し、聖ヴラホの祝祭は、熱心なカトリック教徒の多い土地らしい、信徒の熱気に満たされています。

ドゥブロヴニクだけでなく、近隣の町や村からも多くの人が聖ヴラホに祈りを捧げ、祝福を得るために旧市街に集うこのユニークな祝祭。
一度経験すると、ドゥブロヴニクの見方がガラリと変わるかもしれません。「観光地」「きれいな場所」「ジブリの街のモデル」から、何世代もの人の人生が折り重なって作り上げられてきた、生きている街へと…。


ねこ好きの天国。もふりまくれる!

ドゥブロヴニク(というかクロアチアは割と全体的に)、知る人ぞ知る猫だらけの街。
ねこ写真家の岩合光昭さんの「世界ねこ歩き」クロアチア編にもドゥブロヴニクのシーンがありまして、たいへんに心が和みます。
現実、このまんまです。

ドゥブロヴニクにはとにかく猫がたくさん。
そして、とっても人懐こい子が多いです。
近づくと逃げたり、機嫌が悪くなったりする猫ももちろんいますが、けっこうな高確率で、手を差し出すとタタっと寄ってきて、自分からスリスリ甘えてきてくれたりします。

さらに、なぜか遠くからトコトコやって来て横に座ってくれたり、膝に乗ってきてくれたり、気の向くところまで一緒に歩いてくれたりすることも珍しくありません。

猫語で何やら話しかけてくれることもあるのですが、あれは一体何を言っているのでしょうか…。
一応「はい、なんでしょう」などと返事をしてみているのですが、今のところ意思疎通には成功したことがありません。

なお、レストランで食事をしていると、「何かくれ」という顔で足元からじっと見上げくる視線によくぶつかります。
ついつい何か上げたくなりますが、お店の人はお掃除のこともありますし、餌付けをあまり歓迎しないことも。
また、人間用の味付けは濃すぎるのではないかと思うので、食べさせてあげるのはあまりよくないのかもしれません。

港で魚を釣ってそのまま猫に全部あげている人などもいますし、猫のエサを買ってあげている人もいるので、お腹がすいて困る子はあまりいないはず。
むしろ丸々としている子が多いので、心配はいりません。

食べ物よりふれあいを求める猫もたくさんいるので、そういう子に出会ったら楽しい時間を過ごしてくださいね。

ちなみに、クロアチアの猫もチュールは好きです。
実証済。

なお、猫はちょっと…という方。
大丈夫。
ロクルム島にはウサギと孔雀がてんこ盛りです。

猫と違って触らせてくれませんが、そこらじゅうでウサギや孔雀がぼーっとしている風景もなかなか和みます。
ウサギは増えすぎて困っているので、年に一度くらい公園管理の方たちに捕獲されているのですが、捕獲されたウサギはペットとして飼いたいという希望者に里子にだされているそうです。

筆者の友達も 2 匹もらって仲良く暮らしています😍


絶景の宝庫!写真好きの天国です

ドゥブロヴニクは、ディナル・アルプス山脈がアドリア海に没する地域、つまり山と川、両方の風景が楽しめる場所にあります。
また、いかにも地中海らしい、素朴な白い石壁にオレンジ屋根の街並に加えて、中世の建築がそのまま残る都市の姿もあり、さらに現代風の港から中世の面影の残る港、農地からセレブ御用達のホテルやヴィラまで、思わずシャッターを切ってしまうような風景、瞬間だらけ。

スルジ山、城壁など、定番中の定番の写真スポットだけでなく、ぜひ、自分だけのお気に入りスポット探しに出かけてみてください。

冬の人が少ない時期は、ゆっくり、心ゆくまで探検できる上、毎日晴天の夏と違って空模様も様々。写真好きには間違いなくベストシーズンです!

最新情報をチェックしよう!