ドゥブロヴニク旧市街の観光スポット: オノフリオの噴水

ドゥブロブニク旧市街に足を踏み入れて、まず目に入るのがこのオノフリオの大噴水。

日本語では「噴水」と訳されていますが、実際は水飲み場なので、ドーム型の建物の周囲に複数の蛇口がつき、水がチョロチョロとかけ流しになっているというもの。「噴水」イメージして行くとギャップに驚くかもしれません。

この記事では、このオノフリオの噴水に関するエピソードをご紹介します。


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オノフリオの噴水とは

オノフリオの噴水は、噴水というか、ドゥブロヴニク旧市街に飲用水を供給する水飲み場。
英語の「fountain」が日本語に訳された時に、「オノフリオの水飲み場」では格好がつかなかったからなのか、あるいは実物を見ずに一般的な訳語をあてはめたのかわかりませんが、日本のガイドブックなどでは「噴水」とされるのが通例のようです。

さて、このオノフリオの噴水には、大噴水と小噴水の 2 つがあります。

通常、「オノフリオの噴水」と呼ばれるのは、ピレ門をはいってすぐのところにある大噴水の方。
小噴水の方は、大噴水からそのまま真っすぐメインストリート、ストラドゥン(プラツァ通り)を旧市街の反対側につくまでずーっと行くと、その突き当り付近にあります。


オノフリオの噴水の歴史

大小いずれの噴水も、1340 年代に、イタリアの建築家、オノフリオ・ジョルダーノ・デラ・カヴァによって建設されたもの。

オノフリオの名前が冠されているのは噴水ですが、実は、彼が招聘された真の目的は、噴水ではなく、それに水を供給する水道の建設の方。

オノフリオによってこの水道が建設されるまで、真水の供給は、ドゥブロブニクの課題の一つでした。
ドゥブロヴニク旧市街は海辺の崖と岩の上に建てられていて、井戸はいくつかあるものの、それだけでは需要をすべて満たすのは困難。

そのため、水道ができる前は、屋根に設置した雨樋で雨水を集め、スポンザ宮殿近くの公共の井戸に貯めて使用したり。
それでも足りない時は、近隣のムリニなどから水を購入してきて使用したりと、だいぶ苦労していたようです。

そんな環境の都市において、清らかなミネラルウォーターかけ流しの水道と噴水は、どれだけの価値があったことか。

さてこの水道、現在の水準から見ても驚異的といえる、非常に精密な作りとなっていました。

なんでも、建造にあたり、「途中で水が 1 滴もれるごとに、ペナルティとして料金から一定金額を差し引く」という契約がかわされていたとのこと。
しかし、結局、水道は非常に緻密な設計で水漏れは全くなく、ペナルティは一切発生しなかったと言われています。

さて、この噴水、当時の姿は今とはちょっと異なっていたようです。

1600 年代の地震などの天災、そして独立戦争中のドゥブロヴニク包囲戦などにより、オリジナルに施されていた装飾が破壊されてしまったり、一部が崩落したりしてしまったからです。
もともとはてっぺんに竜の飾りがあり、より多くの装飾があったそうで、今も少しずつ修復が行われています。


噴水 → 公共の水飲み場

上述の通り、オノフリオの「噴水」は、正しくは噴水というよりは公共の水飲み場です。

ヨーロッパの統計資料を集めた Eurostat によると、クロアチアは、EU 圏内の一人あたりの水資源(※真水)量第一位。
石灰水の層で濾された水は、水質がよく、水道水もそのまま飲めますが、硬水なので、硬く感じられたり、お茶やコーヒーの茶渋が多めに出たりします。

オノフリオの噴水は、水道と噴水の建設語数百年にわたって、山間の水源からミネラルウォーターかけ流す形になっていました。

しかし、クロアチア独立戦争後、大破した旧市街の修復作業の一環として、こちらも、水道管を内部に敷設する形に変更。
そのため、現在流れているのは水道水です。

水道水かけ流しはもったいないような気もしますが、水資源が豊かなクロアチア、実は国内の水の多くが利用されず、そのまま排水されることが多いんだそうです。
日本だったら水道料金が気になって、これはとてもできないことですね。

なお筆者、ここに限らず、ドゥブロヴニク内外のあちこちの水飲み場で水を飲んでいますが、今の所問題が起きたことはないです。
硬水に慣れているからかも。
硬水が苦手な方だと、お腹がゆるくなったりするのかな。

なお、硬水といっても、個人的には、こちらの水は、飲んだ瞬間に「硬!まず!」となるような味ではなく、普通に飲める範囲だと思います。

それと、一点大事なこととして、大雨の後などは水が濁ることがあります。
こういう場合は、その後 1 〜 2 日程度水質が低下することがあるため、水道水の飲用は避け、ミネラルウォーターを購入して飲むようにしましょう。

現地のニュースなどでは、水質の低下が認められるとすぐ「今は飲まないで」という警告がだされますが、旅行者は、なかなかそこまでチェックしませんよね。
そのため、大事を取って、大雨の後は水道水はそのまま飲まない、というふうにしておくと心配がありません。

いずれにしても、街中の「噴水」の水を飲むというのは、日本ではまずできない経験。
観光客の方が周りにいる場合、水をボトルにいれ、ついでにそのまましれっと飲んでみせると、「え!嘘!」というリアクションが得られてけっこう楽しいですよ!


Star Wars エピソード 8 のロケ地になりました

2016 年 3 月、ドゥブロブニクでは スター・ウォーズ エピソード 8 の撮影が行われました。
オノフリオの大噴水もスター・ウォーズ仕様になり、未来っぽい装飾がついてお色直し。

夜になるとこの縦の電灯のような部分がオレンジ色に光って、なかなかきれいでした。
エピソード 8 が公開されたら、ぜひオノフリオの噴水が出るシーンがないか、よく見てみてくださいね!


アクセス

オノフリオの大噴水は、ドゥブロヴニクの旧市街にピレ門から入ると、すぐ右手にあります。
いつも人が沢山いて、シーズン中は民族衣装を着てキーホルダーを売る人や、伝統的な楽器を弾く人がいることが多いです。

オノフリオの小噴水は、ストラドゥン(プラツァ通り)の反対側の端、ルジャ広場の時計台の根本にあります。
こちらも同じく水道水がかけ流しになっているので、安心して飲むことができます。

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