ドゥブロヴニクの旧市街、路地の奥にひっそりと隠れている自然史博物館。
ドゥブロヴニク・カードで入場できるこの博物館、「博物館」を期待して見にいくと、おそらくその期待は裏切られることになるでしょう。
ドゥブロヴニクにはいくつか、よくわからない公共施設があるのですが、ここは間違いなくその一つ。
今回は、個人的にはマリン・ドゥルジッチの家に続く謎施設と思う、ドゥブロヴニク自然史博物館についてご紹介します。
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ドゥブロヴニク自然史博物館の展示物
ドゥブロヴニク自然史博物館の展示品は、ドゥブロヴニク周辺に生息する(した)生物が中心。
…とは言っても、生き物が展示してあるわけではなく、剥製だったり、模型だったり、写真だったりが陳列されています。
ドゥブロヴニク周辺は、非常に自然が豊か。
車で 1 時間も行けばイノシシ出没注意の看板がでているほどです(いっぱいいます)。
また、海は見てすぐ分かる通り澄み切って美しく、魚もウニも貝もどっさりいます。
どのくらい魚がいるかは、覗き込めばすぐわかるほど。文字通りうじゃうじゃいます。
これだけいると、魚釣りも適当なもの。
知り合いのおじさんの釣りを見ていると、まず、昨日の晩ごはんの残りの、固くなったパンをわしっとひと塊もぎとって、親指くらいの大きさの大雑把な釣り針がたくさんついた釣り糸でぐるぐる巻にし、ボン!と海に投げ込む。
パンが海面に達した瞬間、水面がばしゃばしゃばしゃっ!と沸き立って、釣り糸を引っ張ると 2 匹くらいついてくる。
その頭をボキッとやって海水でちゃちゃっと洗って締めて、そのままスーパーの袋に突っ込んで持って帰る。
これまで筆者がやってきた釣りは何だったんだ…。
釣りには忍耐や、魚との駆け引きがあると思っていたのに…。
と、なぜか打ち砕かれた気持ちになってしまうくらい、魚もそれ以外もとにかくいっぱいいるのです。
そのような場所ですので、改めて博物館で「こんなものもいるよ(昔いたよ)」と並べられると、世界に名だたる観光地なのに、近くにこんな豊かな自然があるってすごいな、という気持ちにはなります。
深海魚やサメなんかは異形なものもいておもしろいですし。
ただし。
それでも、本気の「博物館」を期待して行くと、拍子抜けはすることでしょう。
もともと個人が趣味で集めていた剥製などを展示したところから始まった博物館だからなのか、知的好奇心、学究心を満たすための展示というよりは、「ほら、こんな珍しいものがあるよ!」という見世物小屋的な展示によっていきがち。
実際、貝などが入った透明のボールや CD がわんさかぶらさげてあったり(CD は鱗のイメージ…??)。
フレディー・マーキュリーを魚化したらしきキャラクター様のものが熱唱していたり。
なぜこうなってしまったか、全く意味がわからないハイレベルな展示が随所にちりばめられています。
ですので、ここを楽しむには、まず、そういう場所だという正しい認識を持って見にいくことが大事。
正しい認識をもって様子を見に行くと、思わず口の端でふにゃっと笑ってしまうようなツボがいっぱいです。
ちなみに、想像にかたくないところですが、子どもウケも割とよいようです。
これだけのためにチケットを買う価値があるかというと、率直に言うと、相当変わったご趣味の方を除いては、ないです。
ですので、ミュージアム共通チケットまたドゥブロヴニクカードがあり、時間に余裕があり、謎スポット探索が大好きな方、どうぞ楽しんできてください。
アクセス
自然史博物館は、ちょっとわかりにくい、旧市街の奥のほうにあります。
わかりやすいルートとしては、まず、朝市で有名なグンドリッチ広場へ行ってみてください。
ここから、聖イグナチオ教会へと向かう階段を登り始めると、数段上がった左手に枝道があります。
目印は、博物館入り口のある路地の角の建物の壁に描かれた、虫たちの絵です。
こちら、目立つ蝶やなにかではなく、言われなければ誰も気づかないような、そして偶然気づいても、なんでこれが壁に描かれているかまったく目的がわからないような、地味〜なコオロギやケラ的なものばかり!
おそらく、何らかの深い理由があってこういう演出になっているのだとは思いますが、それにしても!!
心をツッコミでざわめかせつつこの路地に入ると、すぐそこに、ドゥブロヴニク自然史博物館があります。
開いている時は(地味な)看板などが出ているので、ちょっと入りにくく感じるかもしれませんが、遠慮なく入っていってみてください。
楽しむ気持ちで行くと、なんだかんだで意外と楽しいですよ😆