11 月〜 12 月のイベント:ドゥブロヴニク・ウィンター・フェスティバルドゥブロヴニクといえば、ヨーロッパでは定番の夏のリゾート。
1950 年からという長い歴史を持つ、街がすべてアートになるドゥブロヴニク・サマー・フェスティバルには世界中から観光客、それにアクターや音楽家、DJ などを始めとするアーティストが集まります。
しかし、ドゥブロヴニクの魅力は夏のみにあらず!実はオフシーズン中にも、ウィンター・フェスティバルが行われているんです。
今回は、11 月から 12 月末まで、旧市街を始めとするドゥブロヴニク市内各所で様々なイベントが開催されるウィンター・フェスティバルについてご紹介します。
iStock. by Getty Images ポートフォリオ:Mari_mjx
Instagram Profile:@marimjx
11 月 〜 1 月初め:クリスマスマーケット
クリスマスに向けて、ドゥブロヴニクのメインストリート、ストラドゥン(プラツァ通り)に可愛らしい出店が並び、通りにはクリスマスイルミネーションが取りつけられます。
ヨーロッパで最もロマンティックな街ランキングでも上位に入ることの多いドゥブロヴニク、このシーズンはいつもよりロマンティック度上げてきますよ!
クリスマスマーケットとしては小規模ですが、地元感があってほのぼのした雰囲気は、これはこれで良いものです。
ちなみに、もともとストラドゥンはドゥブロヴニクの社交場のような存在でもあります。
とりあえず行ったり来たりしていると知り合いにたくさん出会うので、それを目的に行ったり来たりする「ヂル(Đir)」という行動が風習になっているほど。
そんなストラドゥンで行われるクリスマスマーケットですので、冬場は暖かいところ、またはスキーのできるところなどに旅に出がちな地元の人も、このときばかりはいつも以上にストラドゥンをウロウロします。
クリスマス・イブにはクリスマスキャロルを歌いながら練り歩く地元の女性たちも多くて、独特の良さがありますよ。
12 月のイベント
12 月に入ると、コンサートなどのイベントがもりだくさん。
クリスマスといえばこれ、「くるみ割り人形」が演じられたり。
教会や劇場でコンサートがしばしば行われたり。
ストラドゥンを会場に、ケーキパーティや小さなパレード的なものが行われたり。
クリスマス・イブあたりには、ドゥブロヴニク交響楽団のコンサートもあり。
最終的に、大晦日から元旦にかけて、ストラドゥンの突き当り、ルジャ広場を会場にしたストリートコンサートでは、花火もあがって大盛りあがり。
そして元旦のお昼には、ドゥブロヴニク交響楽団のコンサートがストラドゥンで開かれ、スパークリングワインと牡蠣が振る舞われて、素敵な 1 年の幕開けとなるのです。
ちなみに、新年は正装する方が多くて、大晦日の夜中にあれだけ飲んで騒いでたのが幻だったのではないかと思うような、キリッとした蝶ネクタイ姿の紳士、美しいドレス姿の淑女が多く見られます。
う〜んこのギャップ、たまらないですね。
ちなみに、ウィンター・フェスティバルの内容は毎年かわるので、行ってみたい方はドゥブロヴニク観光局の Web サイトでチェックするのがおすすめです → Dubrovnik Tourist Board
ついでに 2 月 3 日: 聖ヴラホ祭
敬虔なカトリックの多いドゥブロヴニクで最も大切にされている聖人といえば、ドゥブロヴニクの守護聖人、聖ヴラホ(聖ブラシウス、聖ブレイズとも呼ばれます)。
この守護聖人のお祭りが行われるのが、2 月 3 日、聖ヴラホの日。
3 日間に渡って、伝統的な祝祭が行われることになっています。
ドゥブロヴニクの聖ヴラホ祭の始まりはなんと今から 1040 年強遡ること 972 年。
日本の歴史で考えると、これはなんと、藤原氏による公家政治が行われていた平安時代にあたります!
ちなみに、祇園の例祭、祇園会が初めて行われたのが天禄元年、970 年なので、ほぼ同じくらいの歴史があることになりますね。
この聖ヴラホ祭は、ドゥブロヴニクにとって、1 年で最も重要なお祭りと言っても過言ではありません。
ちなみに、観光客を意識したイベントではなく、ガチの宗教行事です。
そもそも、クロアチアは非常に敬虔なカトリックの多い国。
そして、ドゥブロヴニクについては、そもそもクロアチアの他の地域とちがって別個の独立した共和国であり、周囲すべてがオットーマン帝国(ただしオスマン・トルコ)=イスラム教圏に統合される中、イスラム教の海に浮かぶキリスト教の小島のような存在だった歴史があります。
この独立を聖ヴラホの旗印のもとで守ってきたという特殊性もあって、『ドゥブロヴニクを守護してくれている聖人』である聖ヴラホの存在は、ドゥブロヴニクの人にとって、本当に大きいものなのです。
聖ヴラホ祭は、伝統を色濃く残しながら生きる人々が生きる街としてのドゥブロヴニクの本来の姿を見ることができる数少ない機会。
もしこの時期にドゥブロヴニクを訪れる機会があったら、ぜひ参加してみてください。
ただ、本当に宗教行事なので、信者の皆さんの邪魔にならないよう、そして、変わった風習を見ても、見世物扱いで無神経に写真を撮りまくったりして顰蹙を買ったりすることのないよう気をつけていきたいところです。
文化と歴史に対する尊敬の念を持って、ちょっと端っこの方で見せてもらう感じがちょうどいいかな、と個人的には思っています。