ドゥブロヴニク周辺の日帰り観光スポット: ​ ストンとマリストンの見どころ

ストンはペリエシャツ半島の都市で、ドゥブロヴニクから路線バスで約 1 時間ほど行ったところにあります。

今回は、変形五角形の城壁、ヨーロッパ最古の塩田、クロアチア随一の牡蠣の産地でもあるストン&マリストンの見どころをご紹介します!


iStock. by Getty Images ポートフォリオ:Mari_mjx
Instagram Profile:@marimjx


ストンとマリストン: ペリェシャツ半島の門番

ストンはペリエシャツ(Plješac)半島の都市で、ドゥブロヴニクからは距離にして 60 km 程度。

マリストンは「小さいストン」を意味するとても小さな居住地で、ペリエシャツ半島を挟んでストン(「大きいストン」という意味のヴェリキ・ストンと呼ばれることもあります)の反対側にあり、ストンと城壁によってつながれています。

ストンにはローマ時代から続く塩田があり、大航海時代にはこの塩田で生産される塩は、当時独立した都市国家だったドゥブロヴニクの貴重な財源の一つでした。
そのため、ストンと、ペリェシャツ半島の防衛はドゥブロヴニク共和国にとっても大事な国家政策。

それにしても、ちょうどいい形に細長くなっているとは言え、半島を完全に城壁で遮断するとは、なかなか思い切ったことをするものですね。


ストンの名物 1:牡蠣とムール貝

ストンは、クロアチアはもちろん、ヨーロッパの食通の間ではよく知られる牡蠣の産地。

なお、実際の生産はマリストン湾なので、ストン産ではなく、マリストン産、という方が厳密には正しい。
ただ、マリストンがあまりに小さな村だからか、「ストン産」ということになっているようです。

生産されているのは、ヨーロッパヒラガキという、平べったく丸っこい形をした牡蠣で、サッパリした旨味で人気があります。

もともとこの海域を始め、ヨーロッパの広い範囲に生息していた牡蠣ですが、海の環境の悪化や、病気の流行、日本でよく見かけるマガキの導入によって、ほとんどの場所で絶滅の憂き目に…。
ローマ時代からずっと食べられてきたのに、今となっては、貴重な高級食材になってしまった牡蠣なのです。

なお、ドゥブロヴニクでも、ストンの牡蠣は非常に人気があり、あちこちのレストランで提供されています。
ただ、地元の人は、より新鮮な採れたての牡蠣を求めて、わざわざこちらまで来ることもありますね。

牡蠣とムール貝の養殖が行われるマリストン湾は、周囲が環境保護区になっていて、人が住む場所はほとんどありません。
また、周囲の山地は石灰岩質のカルストで、豊富な地下水が常に大量にマリストン湾に流れ込んでいて、水質が非常に良好な状態に保たれています。

また、管理もしっかりされていて、季節や海流の変化などによって一時的に水質が悪化したりすると、すぐに警告が出され、水質が回復するまで牡蠣の採取を停止したりしています。

そのため、こちらでは牡蠣は生食が主流。
主流というか、そもそも、火を通した牡蠣を出すレストラン自体がめったにないです。
マリストン湾では、小舟に乗って養殖筏まで行き、牡蠣を引き上げてその場で食べられるツアーなどもあり、牡蠣好きにはたまらない…😍


ヨーロッパ最古(?): ストンの塩田

ストンには、数千年という、世界でも有数の歴史を誇る塩田があります。
一説によるとヨーロッパ最古だとも言われているほど。

整然とした区画に分けられた、現在と同じ姿になったのは、中世のドゥブロヴニク共和国時代。
当時は「白い黄金」と呼ばれ、高値で取引された塩は、ドゥブロヴニク共和国の富を築く一つの重要な資源であり、政府としてはしっかり管理しておきたかったんでしょうね。

ストンの塩田では、現在も、当時の伝統をそのまま守った、手作業による天日塩の生産が続いています。
添加物も一切加えず、本当に海水と太陽の力だけでじっくりと塩を結晶化させていく製法は、手間はかかりますが、その分味わい深くも感じられます。

塩田は見学することもでき、もちろん塩を購入することもできます。


ストンの城壁

ストンには、急峻な山肌に大きな五角形を描いたような、特徴のある城壁があります。

こちら、ヨーロッパで 2 番目の長さを誇る城壁でもあります。
ちなみに、ヨーロッパで一番長いハドリアヌスの城壁は、土台の石組みが一部残っている程度なので、城壁の形が現存するものとしては、こちらが最長。

ストンの城壁が現在の姿になったのは、ドゥブロヴニク共和国時代のこと。
戦略状、財政上の要所だったストンを守るため、この城壁はドゥブロヴニク旧市街の城壁と一緒に、綿密な都市計画に基づいて作られたものです。

ドゥブロヴニク旧市街を始め、町を囲むタイプの城壁は、ヨーロッパには数多く残っていますが、ストンの城壁のように半島を横断し、出入りを遮断するというものはなかなかありません。
非常にユニークで、遠くから眺めても、実際登ってもかっこいいので、足腰に自信のある方はぜひ城壁、登ってみてくださいね。

風景がとても美しい地域なので、眺めを見るだけでも登る価値ありです。
ただ、高所恐怖症の方、運動できる靴ではない方にはおすすめしません…。
なかなかいい運動になりますよ。


ストンとマリストンの街並

ストンとマリストンは、長い歴史があり、歴史上の価値も高い町(というか村)なんですが、とにかく小さくてかわいくて、そんな価値のある町っぽくないところがとても魅力的。

ストンなど、旧市街=町のすべてみたいなものなので、本当にそのまま、数百年直し直し使われてきた家並はとても味わい深いです。
レストランやカフェも、ドゥブロヴニク市内に比べるとずっとのんびり、ゆったりしていて雰囲気がとてもいい。

そして、シーフードの新鮮さがものすごいため、素材を味わう系のご飯がめちゃくちゃ美味しい!!
石造りの小さな町のオープンテラスで、目の前の海からの採れたてのシーフードと、ペリェシャツ半島のワインをいただくと、もう休日としては完璧です。

ただ一つ、残念なことに、ドゥブロヴニク共和国滅亡後のオーストリア帝国による統治時代に、城壁を含め、歴史的建造物を壊し、その石を建築資材として使用するということが広く行われた時代がありました
そのため、ストンの街並の保存状態は完璧とはいい難く、今も発掘・修復がずっと続いている状態です。

今後、もっとストンの歴史的価値が見直され、いい形の修復が進んでいくと、もしかしたらストンももっと観光地としてお客さんが多く来るようになるのかもしれませんね。


ストンのおすすめイベント

ストン城壁マラソン

ストンでは、毎年 9 月に、城壁がコースに含まれるストン城壁マラソン、Ston Wall Marathon が実施されます。
ドゥブロヴニクにも城壁ランはありますが、ストンの城壁の傾斜はドゥブロヴニクの城壁の比ではないので、ここでマラソンというのは相当なことです…。

体力に自信のあるかた、ぜひチャレンジを。
なお、2016 年は 9 月 18 日開催だそうです。

オイスター・フェスティバル

ストンの牡蠣が旬を迎えるのは 3 月半ば。

この時期に、マリストンで牡蠣祭りが開かれます。
すぐそこの海から採れたての牡蠣が大量に用意される素敵イベントです。

皆さん、食べっぷりがたいへんよろしくて、気持ちいいです。

地元の牡蠣とワインのコンテストなども開かれ、綺麗な海、山を眺めながら思いっきり贅沢なひと時を堪能できます。
日程が合えば是非足を運んでみてください。

なお、約 1 週間遅れでドゥブロヴニクでもオイスター・フェスティバルが行われます。
ドゥブロヴニクに 1 週間強滞在予定、またはドゥブロヴニク発着便で 1 週間程度旅をして回る日程であれば、両方のオイスター・フェスティバルに参加することができるかも!

最新情報をチェックしよう!