コーヒー文化は、クロアチアの日常生活を語る上で欠かせない、大事な要素。コーヒー自体を楽しむことはもちろんですが、何よりも大事なのは、カフェでくつろぎ、ゆっくり過ごす時間をもつこと。
商談から愛の告白、就職面接から井戸端会議まで、全てがコーヒーの席で決まるとまでいわれる、クロアチアの奥深いカフェ文化。今回は、そんなクロアチアのコーヒーシーンにまつわるお話をご紹介します。
iStock. by Getty Images ポートフォリオ:Mari_mjx
Instagram Profile:@marimjx
クロアチアのコーヒー文化
ゆっくりペースはコーヒーに限らず、全般的にクロアチアには焦らない美学のようなものがあります(共産主義時代の遺物だ、という人も)。
そのため、急いでいると「Polako(ポラーコ、ゆっくり)」となだめられることも多い。
コーヒーを飲みに行く場合も、さっとカフェインを摂取してパッと立つような無粋なことはしないのです。
「コーヒー飲みに行こうよ(Idemo na kavu、イデモ・ナ・カヴ)」と現地の人に誘われたら、エスプレッソ 1 杯で 1 〜 3 時間くらいおしゃべりする覚悟を決めましょう。
まさに「ポラーコ」。
なお、仕事にもよりますが、勤務中でもこのような長いコーヒーブレイクを取ることもあるそう。
ただ、取引相手とのミーティングもコーヒーブレイクの形で行ったりするので、それでいいようです。
実際、こうやってコーヒーを飲みながら話をするなかで、仕事が決まったり、商談がまとまったりすることも珍しくないんだとか。
クロアチアでは、友達と会うのも、恋人とのデートも、知り合いとの会話も、とにかくコーヒーがなくては始まらないのです。
クロアチアのコーヒー
さて、クロアチアのコーヒー、一般家庭でよく飲まれるのが、いわゆるトルココーヒー。
ヂェズヴァ(Džezva)と呼ばれる小鍋で煮出して、濾さずにカップに注ぐタイプです。
クロアチア語で「ブラックコーヒー(crna kava)」というと基本はこれです。
作り方は簡単。
人数分の水を計ってヂェズヴァに入れます。この時、エスプレッソカップを使い、縁まで満杯にするとよいです。
ヂェズヴァを火にかけ、一度沸騰させます。
沸騰したら一度火からおろし、コーヒーを一人スプーン一杯分の計算で投入。
すぐにくるくるとよく混ぜます。
火にかけたまま、またはまだお湯がブクブク沸騰している状態でコーヒーを入れると一気に沸きあがってあふれるので注意しましょう。
なお、コーヒー豆は、トルココーヒー用、またはエスプレッソ用に挽いた細かいものを使います。
コーヒーとお湯がよくなじんだら、ヂェズヴァをもう一度火にかけます。
とろ火にし、しっかり見張っておいて、ぷつぷつと泡が立ってきたら火を止めて休ませ、コーヒーからガスが抜けるのを待ちます。
最後にもう一度火にかけ、ぷつぷつ沸いてきたら、そこで一度休憩。
粉が底の方に沈んだら、上澄みの部分をカップに注いで完成です。
なお、トルココーヒーだけでなく、エスプレッソマシンでいれたコーヒーや、直火式エスプレッソメーカー(マキネッタ)でいれたコーヒーも一般的。
エスプレッソマシンを持っている家庭はそんなにないかと思いますが、マキネッタは割とポピュラー。
こちらはエスプレッソ用に挽いた豆を使います。
なお、美味しいコーヒーがちゃんとあるのにもかかわらず、なぜかインスタントの方がいいと思う人もある程度いるようです。
なので、日本にいるときよりもインスタントコーヒー出される率高いです。
「ネスカフェ」というブランド名がほぼインスタントコーヒーという意味で使われています。
カフェでコーヒーをオーダーする
ほとんどの場合、カフェには英語のメニューがあるので困りませんが、一応、クロアチア語ではコーヒーは「カヴァ(Kava)」または「カヴ(Kavu)」と言います。
コーヒーのサイズは結構控えめ。
エスプレッソを好む人も多いので、デミタスカップ使用率が高いです。
日本の普通のコーヒー、フィルターで入れたものはあまりみかけません。
「アメリカン」と称して薄めのコーヒーを置いているところもあったような気がしますが、あまりポピュラーではないです。
そして個人的な感想ではこの「アメリカン」はあまり美味しくない…。
これも、フィルターで入れるのではなく、エスプレッソにお湯を足していたり、インスタントを使っていたりすることも多いので、そのへんが理由かもしれません。
注文をする時は、まず、カフェに入って席に座ります。
テラス席などは、勝手に座ってしまって問題ありません。
座ると、サーバーさんが注文を取りに来てくれます。
ほとんどの人が英語ができるので、品物名+「please」ですべて大丈夫ですが、クロアチア語を使いたい時はプリーズのかわりに「モーリム(Molim)」と言ってみましょう。
「Thank you」は「フヴァラ(Hvala)」です。
たったそれだけでも、クロアチア語を使うと大げさに喜んでくれる人も多いです。
だいたいどこにでもあるのは下記。
サイズはありません。
- エスプレッソ
- マキアート
- エスプレッソにちょっとだけミルクを足したもの
- ヴェリキ・マキアート(Veliki Macchiato: 大きいマキアートの意)
- ミルクが多めのマキアート
- ビェラ・カヴァ(bijela kava:白いコーヒーの意。英語で頼む時は coffee with milk)
- ヴェリキ・マキアートよりさらにミルクが多く、要するにカフェオレ、ラテあたりとほぼ同じ。多分これが一番量が多く、普通のコーヒーサイズです。
持ち帰り、歩き飲みも基本的には想定されていないので、蓋つき紙カップというオプションも通常はありません。
持ち帰りコーヒーは最近ちょっと見かけるようにもなりましたが、コーヒーを飲むことがコミュニケーションの場でもあるクロアチアだと、文化的に浸透しにくいところがあるのかもしれません。
コーヒーが苦手な方は、もちろんカフェにはお茶も置いてあるので、お茶(チャイ: Čaj。インドのチャイティーとは違い、単に「お茶」という意味)をお試しになるといいでしょう。
ハーブティーやフルーツ系のお茶などがたくさんあるので、きっと楽しめると思います。
なお、いわゆる紅茶はあまりポピュラーではない模様。
日本だと、紅茶はまずどこにでもあって、フルーツ系のお茶は行くところに行けばある、くらいですよね。
これが、クロアチアだと逆になります。
クロアチアでは通常紅茶ではなく、なにかしらフルーツ系のお茶が出てくることが多いです。
ベリー系のお茶など、濃くしっかりした味でとても美味しいです。
なお、コーヒーを頼むと、グラスに入ったお水がついてくることが多いです。
水道水ですが、クロアチアは水道水が飲めるので心配いりません。
現地友人によると、コーヒーを頼んで水がついてこなかったら、それは論外とのことでした😄