ドゥブロヴニク旧市街の観光スポット: ゴルニ・ウガオ・タワー

ゴルニ・ウガオ・タワーはドゥブロヴニクの城壁に城壁に取り込まれた要塞の一つ。目立たない建物ですが、中は発掘された鋳造所跡がそのまま美術館となっており、なかなかおもしろい場所です。

今回は、このゴルニ・ウガオ・タワーについてご紹介します。


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ゴルニ・ウガオ・タワーとは

ゴルニ・ウガオ・タワーはドゥブロヴニクの城壁に組み込まれた遺跡のうちの一つで、城壁の最高地点、ミンチェタ・タワーのすぐ下の部分にあたります。
タワーとは言っても、目で見てはっきりわかる塔というよりは、城壁が小高くなったくらいの感じです。

城壁の上、ミンチェタ・タワーあたりから下を見下ろすと、城壁にくっついて空中バスケットボールコートがあるのが見えるはず。
ゴルニ・ウガオ・タワーはちょうどこの部分の城壁およびコート下にあり、内部は、この場所からの出土品が展示される博物館になっています。


発掘調査と博物館のオープン

ゴルニ・ウガオ・タワーは、1667 年の大地震によって激しい損傷を受けるまで、ドゥブロヴニク市内の鋳造所として利用されていました。
主な製造物は釘、砲弾、教会の鐘などの実用品だそうです。

しかし、地震で損傷した後は、地震で崩落した土砂などで埋まってしまい、そのまま放置された状態になっていたのだとか。

実際、ゴルニ・ウガオ・タワーの発掘調査が行われたのはごく最近(2005 〜 2008)のこと。
発掘調査後、出土品をまとめて博物館が作られました。

そして、この博物館自体は数年前からオープンしているのですが、正式な入り口がオープンしたのは 2018 年のこと。
以前は、一度バスケットコートに入って、城壁の脇にある扉からはいる形でしたが、今では、ミンチェタ・タワーの下部にあるドアからゴルニ・ウガオ・タワーへと、城壁の内側の通路を通っていけるようになりました。

この通路が、超クールです😆

そもそも、城壁の中にあって、外からは存在もわからない秘密の通路みたいなところを歩いて、思わぬところから一旦外にでて、また中に入った先にやっと博物館がある!
そして、石灰岩と昔のセメントで、建てられてから数百年の時間がたっているため、石灰石が水でちょっと溶け出していて、超ミニ鍾乳石みたいなものができ始めている!!

これは、あとさらに数百年したら、きっとかなり洞窟感が出ると思うのですよ!!

この通路が開くまでは、ミンチェタ・タワーの上には登れても、内側に入ることはできなかったので、この新しい入口と通路がオープンした時はめちゃくちゃ嬉しかったです。

小さい博物館なので、なんだったら 10 〜 15 分もあれば中は全部見ることができますが、遺跡好き、洞窟好き、ファンタジー好きな筆者は、通路(※短い)をウロウロするだけで 15 分くらいは余裕で楽しめますね。


展示内容

ゴルニ・ウガオ・タワーはもともとが鋳造所なので、展示物はその鋳造所そのものと、そこで作られていた製品、そしてこの建物とドゥブロヴニクの歴史です。

さて、この鋳造所、いかんせん城壁内部にある鋳造所ですので、決して規模が大きいわけではないです。
城壁の中にある、と考えるとかなり大きいですが、それでも小規模なことにかわりはない。

しかし、規模が小さいからと言って、「へー、城壁の中の鋳造所なんて、珍しいねー」程度にさらっと見てしまうには、ちょっともったいない場所でもあるんです。

もともと鉱物資源の乏しい土地にあるドゥブロヴニク、自給可能なのは周囲にふんだんにある石灰石のみ。
その状況は、自給率 100% の鉱石は石灰岩だけの日本とよく似ています。

こういった状況で鉄鋼や青銅の生産を行うためには、鉱石を始め、各種の資源のほとんどを輸入に頼らざるを得ません。

しかし、輸入に頼るということは、当然、資源の生産地との関係の悪化や、輸送ルートで何らかの事故や戦乱が発生すれば、即座に生産が停止する危険を常にはらむということを意味します。
この辺も、今の日本と同じ状況といえますよね。

周囲の国々がすべてオットーマン帝国(オスマン・トルコ)、またはヴェネツィア共和国に武力併合されてしまい、キリスト教圏とイスラム教圏の境目で、独立を守った都市国家、ドゥブロヴニク共和国にとって、資源の大部分が輸入だよりというのは、甚だ心もとない状態。
虎視眈々とドゥブロヴニク共和国の乗っ取りを目指す大国を向こうに回し、防衛力を高めようにも、大砲の弾、矢じり、釘などが不足したらお話になりません。

つまり、「いかに効率よく資源を再利用するか」は中世のドゥブロヴニクにとって、国家が最優先で取り組む課題の一つだったわけです。

こちらのゴルニ・ウガオ・タワーで見られるのが、まさに、その結実。
ここでは、鉱石のみならず、水や砂に至るまで、驚くほど緻密に、徹底したリサイクル、リユーズができるシステムが整っています。

中世にできたとは、にわかには信じがたいほどのリサイクル精神。
ここは、当時から、現代の我々がみても感心するほど、洗練された鋳造所だったのです。


アクセス

ゴルニ・ウガオ・タワーに行くには、まず、旧市街にピレ門から入るとわかりやすいです。

ピレ門から、目の前のメインストリート、ストラドゥン(プラツァ通り)の方へ向かい、左側にある最初の脇道、フランシスコ会修道院と、カフェ・フェスティバルの間のあいだの路地を、道なりにずっと登っていきます。
途中、道がちょっと別れたり、曲がったりするところはありますが、常に左側を選び、城壁に可能な限り沿って登っていきましょう。

一番上まで登ると、そこにミンチェタ・タワーがあるはず。
ミンチェタ・タワーの根本の階段、ここがゴルニ・ウガオ・タワーの入り口になります。
こちらはドゥブロヴニク・カードには含まれていないため、30 クーナの入場料金が別途必要です。
個人的には十分すぎる以上の価値があると思っています。

なお、将来的な計画として、城壁の中をずっと通って、一番下の方にあるボカール要塞(ここにも博物館として公開される予定)まで行けるよう整備が進められる予定になっているそうです。
早くできてほしいです😆


館員さんのこと

ここの博物館の館員さんは Ðivo(ヂヴォ)さんという方。
歴史の研究をしている専門家で、海洋博物館や現代美術館など、共通チケットで回れる美術館・博物館群を管理しているDubrovački Muzeji(ドゥブロヴァチュキ・ムゼイ、ドゥブロヴニク美術館)という機関の職員さんです。

とても熱心な方で、「ここに来る方全員に少しでもこの展示と街の歴史を理解してもらい、楽しんで帰ってもらいたい」とおっしゃっていました。

今はまだ、博物館の知名度が低く訪問客も少ないため、他にお客さんがいないときは、ヂヴォさんはガイドツアーなみに展示物の説明をしっかりしてくださいます。
そのため、旅の口コミサイトなどで「ガイドさん」と紹介されていることが多いですが、案内はあくまでもご厚意でしてくださっているようで、ガイドさんではないです。

ですので、運良く案内をしてもらった時は、追加料金なしで本物の専門家が説明をしてくれるという、とてもラッキーなことなので、ありがたくご堪能ください。
ドゥブロヴニクの出身の方なので、ここだけでなく、ドゥブロヴニク共和国の歴史全般に関する質問などにもバンバン答えてくれますし。

さすが、本当に詳しくて、色々なエピソードや研究について、聞けば聞くほど教えてくださる、非常にありがたい方です。