ドゥブロヴニクまでバスで 20 分: ツァヴタット(Cavtat)おすすめポイント

ドゥブロヴニク旧市街の港から、小さな湾を挟んだ先に見える小さな街、ツァヴタット(Cavtat)。静かで落ち着いた旧市街や透明度抜群のビーチ、緑豊かな散歩道、ヤシの並木があり、レストランやカフェが並ぶおしゃれな港などがあり、ヨーロッパの旅行ランキング常連の素敵な場所です。

今回はそんなツァヴタットについてご紹介します。


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ツァヴタットとは

ツァヴタットは、クロアチア最南端の行政区、コナヴレ最大の町です。
ただ、最大、とは言え人口は 2000 人ほどなので、日本の感覚で言うと町というよりは村。
とてもこぢんまりしています。

さて、ツァヴタットはドゥブロヴニク旧市街から車で 20 分ほどの距離にあり、路線バスもそれなりの本数が朝早くから夜遅くまで走っていてなかなか便利。
ドゥブロヴニク空港までなら 10 〜 15 分でつくので、ここを拠点にドゥブロヴニク観光を組むツアーもかなりあります。

さて、そんなツァヴタットは、小さな町ながら、静かで落ち着いた雰囲気、緑豊かな環境、美しい旧市街、そして港には南国感のあるプロムナードなどがあり、地元にもファンの多い場所。
世界中の旅行者の投票により、ヨーロッパで最も訪れるべき場所が選出される「ヨーロピアン・ベスト・デスティネーションズ」でも毎年のようにノミネートされていて、直近の 2019 年には 9 位と大健闘しました。

ちなみに、ドゥブロヴニク周辺の地元の人の間でもツァヴタット人気はかなり高く、「ツァヴタットが好き」と言うと「わかってるねーー!」というような反応が返ってくることが多いです😆


ツァヴタットの見どころ

ツァヴタットには、次のような見どころがあります。

  • 旧市街
  • 港沿いのプロムナード
  • 海沿いの散歩道
  • 周辺の豊かな自然 & 遺跡

ツァヴタットには 2 つの小さな細長い半島があり、上空から見ると、この 2 つの半島は、ドゥブロヴニク側に向かって指を突き出したような形になっています。

旧市街があるのはこのうちの内陸側のほうの半島。
路線バス乗り場もこちらにあります。

バスを降りたら、テラス席のあるレストランが並ぶ目の前の湾に背を向け、反対側に進んでみましょう。
すると、プロムナードと旧市街のある、2 本の指の内側の細長い湾にたどり着きます。


ツァヴタット旧市街の見どころ: ツァヴタット墓地とラチッチ廟

ツァヴタットの墓地はとても小さい墓地ですが、高台にあり、絶景スポットとして人気があります。
日本的な感覚だと、墓地に観光に行くというのはあまりメジャーではない気がしますが、こちらではその感覚自体が違っているようです。

墓地の立地も、非常に眺めがよく、美しい場所に作られていることが多く、ヨーロッパで一番美しい墓地とも言われるザグレブのミロゴイ墓地などもそうですが、墓地が市民の憩いの場でもあり、観光地でもあり…というのがありえる模様。

ツァヴタットの墓地は、旧市街の端の高台にあり、周辺に数本生えている糸杉や松などを除いては、視界を遮るものなし。
眼下には紺碧のアドリア海が広がり、小さな湾をはさんだ先には、ドゥブロヴニク旧市街を囲む城壁が小さく見えます。

墓地の中、海と反対側の端には、2 体の純白の彫像に支えられた入り口の奥に、繊細なレリーフで飾られた扉がある、小さな霊廟、ラチッチ廟が建てられています。
こちらは、1918 年、スペイン風邪で没したイヴォ・ラチッチのため、クロアチアが世界に誇る大彫刻家、イヴァン・メシュトロヴィッチ(Ivan Meštrović)により建立された霊廟。

彫刻家、メシュトロヴィッチは、ユダヤ人の妻をホロコーストで失い、自身もクロアチアのファシスト政権に捕らえられ、投獄されるという、波乱の人生を送った人です。
メシュトロヴィッチは、教会の介入により助け出され、アメリカに亡命した後も、クロアチアを代表する彫刻家として世界で活躍し続けました。

ザグレブの街中にあるニコラ・テスラ像や、スプリットにあるニンのグルグール司教像など、観光の途中で彼の作品を知らずに目にたことがあるかも。

彼の作品には、なめらかな丸みを帯びたフォルムに、威厳や力強さの宿るものが多いです。

こちらの霊廟を飾る彫刻も、静謐さの中に力強さの感じられる、とても素晴らしい作品。
メシュトロヴィッチは、この霊廟の建立に 2 年を費やしたと言われています。


ツァヴタット旧市街の見どころ:ヴラホ・ブコヴァッツの家

ヴラホ・ブコヴァッツは、ツァヴタットに縁の深い画家。

上述のイヴァン・メシュトロヴィッチほどの世界的知名度はないものの、クロアチアを代表する芸術家の一人です。
柔らかなタッチの写実的な人物画、教会向けの宗教画などを多く手掛けていますが、ご家族、特に奥様の肖像をとてもたくさん遺していることでも知られています。
たいへんな愛妻家だったそうで、優しさにあふれる肖像画から愛情深い視線が伝わってくるような、暖かい絵がとても魅力的です。

ヴラホ・ブコヴァッツの家は、彼と家族が暮らした家を美術館ににして一般公開しているもの。

小さいですが充実していて、画家の暮らしがまざまざと感じられる空間になっており、おすすめです。
営業時間が短めで、シーズンによってはお昼休みが 2 〜 3 時間ある場合があるので、訪問したい場合は事前にウェブサイトで確認するようにしましょう。

または、ツァヴタット旧市街に来たらまずここに来て、門の前に掲示されたオープン時間を確認し、その日の予定を調整してもいいかもしれません。
ドゥブロヴニクカード 3 日券、または 7 日券で無料になります。


ツァヴタット旧市街の見どころ: 雪の聖母教会とフランシスコ会修道院

ツァヴタットのプロムナードのはずれにある雪の聖母教会は、ツァヴタットを代表する美しい建築の一つ。

15 世紀頃建てられた古い石造りの小さな可愛らしい教会で、フランシスコ会修道院を併設しています。
観光地化された教会ではないので、一見、内部はちょっと薄暗くて地味に感じられるかもしれません。

しかし、上述のヴラホ・ブコヴァッツによる雪の聖母画などもあり、知る人ぞ知る観光ポイントでもあります。
静かで、心がすっと穏やかになるような場所です。


ツァヴタット旧市街の見どころ: 聖ニコラス教会

聖ニコラス(聖ニコラウス)教会は、旧市街入り口近くにある、ツァヴタットの中では規模の大きな教会です。

教会本体の建立は 15 世紀ですが、鐘楼は 18 世紀になってから追加されたもの。
外装はルネサンス様式、内装はバロック様式で、内部には、シシリアの画家、カルメロ・レッジオ(Carmelo Reggio)、そして上述の地元の画家、ヴラホ・ブコヴァッツの絵画などが飾られています。

聖ニコラス教会には、この他にギャラリーも併設されていて、彫刻、絵画、陶器などが展示されています。
特に聖ニコラスのイコンの数々は一見の価値あり。


ツァヴタット旧市街の見どころ: ツァヴタット総督邸&バルタザール・ボジシッチ博物館/図書館

ツァヴタットの総督の住居跡は、現在、博物館 兼 図書館として利用されています。

博物館に収容されているのは、ツァヴタットの裕福な商家に生まれた、19 世紀のクロアチアを代表する法学および社会学者バルタザール・ボジシッチの遺した膨大な資料。

歴史的価値のある書類も多く残っており、この地域の歴史研究には欠かせない資料館となっています。


プロムナード

ツァヴタット旧市街の目の前は細長い湾になっており、これに沿った道路の海側にはヤシの並木、旧市街側にはレストランやカフェ、バーが並び、気持ちのよいプロムナードになっています。

ベンチもたくさんあって、地元の人たちがくつろいでいたり、猫が寝ていたり。
小さい公園のようなところもあり、子どもたちがいつもキャッキャしていて微笑ましい。

シーズン中には、優雅にセーリングを楽しむ方々がのんびり甲板で甲羅干ししていたりする様子も見られます。
欧米のセレブリティにはセーリングを楽しむ人も多いので、けっこう目撃情報も多いのです😊

とても小さい町の小さいプロムナードですが、ヨーロッパの南の町らしい雰囲気と、穏やかで静かなゆったりした時間が流れていて、気持ちよく過ごすには最高の場所。
夕焼け時、このプロムナードのどこかでゆーっくりマルガリータなんぞを飲みながら過ごす時間はまさに至福の時。


海岸沿いの遊歩道

ツァヴタットの 2 つの半島は、両方とも周囲にぐるっと遊歩道があり、海岸沿いを散歩して回ることができます。

旧市街のある方の半島は、プロムナードの散歩ついでにそのまま進めばいいのでアクセス抜群。

遊歩道沿いに小さなビーチがいくつかあり、夏場はお店やバーもちょっと出ます。
道もきちんと舗装されていて、誰にでも楽しめる気持ちのよい散歩道なので、地元の方も家族連れで散歩していたりするのをよく見かけます。

もう片方の半島の方には建物がほとんどなく、半島全体が森になっているので、遊歩道も未舗装、砂利道のちょっとしたハイキングコースのようになっています。
本格的なトレッキングシューズなどは不要ですが、運動靴でどうぞ。

こちらは、内海側には何箇所か泳げる場所もあるものの、外海側は勾配がきつく、泳ぐのに適した場所はあまりありません。
半島の入り口付近、外海側にホテル・クロアチア・ツァヴタットという大型ホテルがあるのですが、こちらに、護岸コンクリートを海際まで降りられるよう整備したコンクリートのビーチがあるくらい。

ただ、高台になっているため、海側の景色は素晴らしい。
特に、夕焼け時などは、沖合のムルカン島などがオレンジ、または紫(※この辺りでは紫色の夕焼けがけっこう見られます)の夕日に照らされる様は例えようもなく美しいです。

いかんせん未舗装で、お店なども全くなく、ビーチもないので、観光客でここを歩き回っている人はほとんど見たことがありません。
地元の人もたまに犬の散歩かなにかしているのを見かけるくらいですが、ちょっとしたハイキング気分で絶景を味わえるため、筆者はけっこう好きです。
最終的にホテルの敷地に出てくるので、ホテルでコーヒーか何か頂いて帰ると、なんとなく「あーいい一日だった」という気持ちになりますね。


周辺の豊かな自然 & 遺跡

ツァヴタットは、農業地域であるコナヴレにある町なので、周囲には自然がいっぱい。

ドゥブロヴニク発着日帰り観光スポット: コナヴレとツァヴタット > コナヴレのおすすめポイント に詳細のある鷹の要塞、リュタ川と渓谷、ワイナリー&ファーム体験などはすべてツァヴタットから 10 〜 15 分もあれば行けるところにあります。
公共交通機関だとアクセスしづらいのが難ですが、現地ツアーを利用したり、レンタカーを使ったり、タクシーまたは Uber を使ったりすれば効率よく回ることも可能。

また、トレッキングコースや自転車コースもたくさんあり、ツァヴタットの観光案内所で地図もくれます。
自転車のレンタルをしてくれる現地ツアー業者もけっこうあるので、トレッキング好き、自転車好きな方はぜひ挑戦してみてくださいね!

ちなみに、コナヴレには乗馬が楽しめる場所もあり、観光客向けに乗馬ツアーを提供しています。
乗馬ツアーはドゥブロヴニク、またはツァヴタットからの送迎ありのものもあるので、興味ある!という方はこのあたりチェックしてみてください。


ちょっとだけ歴史のお話: ツァヴタットとドゥブロヴニク

ツァヴタットの前身は、ローマ時代に海上交通の要所として栄えたローマ系の海運都市、エピダウラム。

諸説ありますが、最盛期の人口は実に 4 万人に達したこともあるのだとか。
これはなんと、現在のドゥブロヴニクとほぼ同じ規模。
古代ローマ時代には、この辺りでは突出したサイズの都市だったわけですね。

さて、ローマ帝国の小都市として繁栄を謳歌していたツァヴタットですが、4 世紀、この平和な都市に予想外の悲劇が襲いかかります。
それは、大地震。

ツァヴタットは壊滅的な被害を被り、ローマ帝国の衰退と時期が重なった事もあって、ツァヴタットは次第に弱体化。
近隣に勢力を広げていたアヴァール人、スラヴ人の侵攻にさらされるようになります。

より安全な場所を求め、難民化した住民は、ジュパ湾を回った先に逃れ、そこに居住地を築きました。
そしてこれが、ドゥブロヴニクの始まりだと言われています。
つまり、ツァヴタットはドゥブロヴニクの生みの親とも言える存在なんですね。

さて、ツァヴタットからの避難民によって大きく人口を増やし、発展していったドゥブロヴニク。
のちに共和国として独立し、ヴェネツィア共和国やジェノヴァ共和国とアドリア海の海洋貿易の覇権を争うほどの、ルネサンス期のアドリア海における一大勢力となっていきました。

しかし、そのドゥブロヴニクも、1667 年に大地震に襲われて壊滅的被害を受け、徐々に弱体化した後、侵攻してきたナポレオン率いるフランス帝国軍によって滅亡することになります。
歴史は繰り返す、とは言うものの、同じ地震国としては、胸にささる運命ですよね…。

歴史を知って町を訪れると、非常に感慨深いものがあります。
ツァヴタット周辺には、ローマ時代の遺跡もかなりあり、ほとんどが観光地として整備されることなく、ほぼ放置された状態になっています。
探して行ってみると、歴史の重みをより深く感じられる、歴史マニアにはたまらない旅ができますよ。


ツァヴタットへのアクセス

ドゥブロヴニクからツァヴタットへ行く場合は、グルージュ港のバスターミナル、または旧市街のケーブルカー乗り場前にあるバス停から、10 番の路線バスに乗ります。

これは郊外路線なので、定額制の市内路線とは違って、乗車距離によってお値段が変動するシステム。

ツァヴタットは終点なので、2020 年 3 月時点でのバス料金はドゥブロヴニクからだと 25 クーナ。

料金は、乗る時に、運転手さんに行き先を告げて料金を現金で払います。
「ツァヴタット」というだけで OK。
高額紙幣だと断られる可能性もあるので、10 〜 50 クーナ紙幣の範囲で支払えるようにしておくとよいです。

タクシー、Uber を利用する場合は、どこで拾ってもらってどこで落としてもらうかにもよりますが、ドゥブロヴニク旧市街から、だいたい 190 〜 230 クーナくらいの範囲に収まる事が多いです。

また、シーズン中はドゥブロヴニク旧港とツァヴタットプロムナードを結び、途中にある町ムリニ(Mlini)を経由する高速ボートが運行されています。
所要時間は約 40 分ほど。

基本的には、20 人も乗ったらいっぱいになるような、テント的な屋根のついた小さなボートのことが多いです。
お値段は 200 〜 300 クーナ程度だったかと思うので、25 クーナのバスの 10 倍くらいしますが、眺めがとにかく最高なのと、気持ちがいいのとで、筆者は好きで時々乗っていますね。

なお、夏場は海が静かな事が多いので問題ないですが、天候が崩れてきて、波がある時などはけっこう揺れますし、濡れます。
船が苦手な人はちょっと怖いかもしれないので、お天気と相談して検討するようにしてみてください。

筆者は船好きなので、タクシーや Uber を利用するのとたいして値段が変わらないなら全力でボートを取ります。
海好き、船好きの人は試してみてね!