クロアチアのワインリージョン: Wine regions in Croatia

世界での知名度は徐々に上がりつつあるものの、日本ではまだまだ知られていないワインリージョン、クロアチア。ワイン造りの歴史は古く、古代ギリシャ時代にまで遡ります。

親しみのある定番から、クロアチア固有種を使った個性的なものまで、魅力に富むクロアチアワイン。今回は、そんなクロアチアの主なワインリージョンをご紹介します。


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iStock. by Getty Images ポートフォリオ:Mari_mjx
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クロアチア国内の 4 大ワインリージョン

クロアチアは、山が多い複雑な地形をしており、ちょっとした高度、傾斜、太陽に対する角度などで、隣接する土地でも微妙に気温、日照時間、風当たり、湿度などが異なることがあります。このような、それぞれに微妙に異なる気候を「マイクロ・クライメット」と言い、ワインリージョンとしてのクロアチアは、まさにこのマイクロ・クライメットの宝庫、ということになります。

さて、そんなクロアチアではありますが、それでも、はっきりと特徴の異なる大きな区分が 4 つ存在します。その 4 つは、次の通り。

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イースタン・コンティネンタル・クロアチア

このリージョンは、ドラヴァ川、ドナウ川、サヴァ川、イロヴァ川に四方を囲まれた広い平野部。ブドウだけでなく、クロアチアの農業全体を支える重要な地域でもあります。ブドウの栽培は、この地域の中のなだらかな丘陵部で行われていることが多く、歴史としてはローマ時代以前まで遡る、たいへん古いワインリージョンです。

こちらは、クロアチアの他のリージョンに比べて気候も均一で安定しており、似たような気候のオーストリアやハンガリーと共通のブドウの大規模栽培が行われています。

そのため、この地域を代表するとブドウといえば、白ワインならグラシェヴィナ(Graševina、別名ヴェルシュリースリング)、リースリング、シャルドネ、ピノ・グリージョ、トラミナッツ(Traminac、別名ゲヴェルツトラミネール)など。そして赤ワインなら、フランコヴカ(Frankovka、別名ブラウフレンキッシュまたはレンベルガ)、カヴェルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、ピノ・ノワール、カダルカ(Kadarka、別名ガムザ)など、比較的世界的にみてもメジャーなものが主要品種となっています。

なお、安定した大規模生産が可能なため、この地域のワインは品質の割にお求めやすい値段設定がされていることが多い。間違いなくお値打ちリージョンと言えるでしょう。品質の確かさでいうなら、例えば、イロチュキ・ポドゥルミというワイナリーなどは、イギリス王室が戴冠式や王族の結婚式などの特別な機会に大量発注するワインを生産しています。ゲヴェルツトラミネールを好まれる方は、ぜひこちらのトラミナッツもお試しになってみてください。なかなかいいですよ。
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クロアチア・ハイランド

クロアチア・ハイランド(高地クロアチア)は、ザグレブを含むクロアチアの西側、大陸側の地域にあたり、イースタン・コンティネンタル・クロアチアと同様、比較的穏やかな大陸性の気候帯に属します。ただ、こちらは北にそびえるアルプスから降りてくる冷たい空気と、南のアドリア海から上がってくる暖かい空気両方の影響を受ける点が大きな違い。ワイン造りも、このダイナミックな空気の動き、そしてそこから生まれる雨の影響を受けることになります。

このリージョンを代表するブドウとして、白ワインなら、まずはイースタン・コンティネンタル・クロアチアと同様、グラシェヴィナ、リースリング、シャルドネ、それにマスカットやソーヴィニヨン・ブランなどのメジャーな品種。これに加えて、固有種のクラリェヴィナ(Kraljevina)、モスラヴァッツ(Moslavac、別名モスラーまたはフルミント)、シュクルレット(Škrlet)などが栽培されています。

赤ワインはあまり多くないですが、フランコヴィカ、ピノ・ノワール、カヴェルネ・ソーヴィニヨン、それにポルトゥギザッツ(Portugizac、別名ブラウアー・ポルトギーザー)などは一定量栽培されています。また、こちらも量は限られているものの、クロアチアでスパークリングワインといったら、まず名前のあがるプレシヴィツァ(Plešivica)地区があるのも、このクロアチア・ハイランドです。
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イストリアおよびクヴァルネル・ベイ

イストリアおよびクヴァルネル・ベイは、アドリア海沿岸の北西部にあたる地域。イストラ(イストリア)半島と、そこから大きく弧を描くクヴァルネル湾、そしてその湾内に浮かぶ島々がこちらに含まれます。地形、土壌とも変化に富むリージョンですが、全体的には、地中海性の比較的穏やかな気候に恵まれています。夏は乾燥していて、秋〜冬は降雨量が多くなります。

このうちの例外と言えるのが、このリージョン最大にして最重要地域、イストラ半島。海岸部は地中海性気候なのですが、なだらかな丘陵の続く半島中央の平野部は、地中海性というよりむしろ大陸性の気候に近くなります。また、アドリア海の突き当たり部分にある上、半島の根元にはディナル・アルプスがそびえ立つという独特の地形のため、吹き込む風はこの辺りのリージョンとしてはかなり冷たい。これが、世界トップクラスのワイン・リージョン(およびオリーブ・リージョン)に複数回選出されている、この地区の特徴を作り上げるのです。

イストラ半島を代表するワイン、そしてクロアチアワインの中で、最も世界的な名声を得ているワインでもあるのが、マルヴァジヤ・イスタルスカ(Malvazija Istarska、白ワイン)。クロアチアには、数種の「マルヴァシヤ」または「マルヴァジヤ」と呼ばれるブドウが存在しますが、よく見ると世界の他のマルヴァジヤと同じブドウだったり、別個の固有種ブドウだったりとタイプは様々。そんな中、マルヴァジヤ・イスタルスカについては、固有種であると考えられていて、栽培もほぼイストラ半島および近隣に限られています。白ワインについては、この他マスカットや固有種のジュラフティナ(Žlahtina、クルク島原産)なども栽培されていて、質の良いスパークリングなども作られています。

赤ワインについては、イストラを代表する赤ワインは固有種のテラン(Teran)です。イストラ半島の西側で古くから栽培されていて、国際的な評価も高いのですが、この「テラン」を名乗るブドウがスロヴェニアやイタリアにも存在し、その名称の使用を巡って激しい国際的な攻防が繰り広げられています。今後どうなるんでしょうか…。

テラン以外には、メルロ、カヴェルネ・ソーヴィニヨン、レフォシュク(Refošk、別名レフォスコ。ヴェネツィアからスロヴェニア、イストラまでのアドリア海沿岸部原産とされる)などが人気です。

なおこの地域において、イストラ半島以外に次ぐ規模のワインリージョンと言えるのは、ジュラフティナの原産地であるクルク島。それ以外では、大陸側のノヴァリャ(Novalja)やノヴィ・ヴィノドルスキ(Novi Vinodolski)など、およびスサック島あたり少量が生産されるのみ。ちなみに、スサック島では、栽培農家の減少に伴い一時は絶滅寸前まで行った激レアブドウ、サンスィゴット(Sansigot、別名スシュチャン)のワインが、ごく限られた量ですが、生産されています。これは、行って地元の人に聞いて探さないと見つからないかも!
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ダルマチア

ダルマチアは、クロアチアのアドリア海沿岸部のうち、ザダル周辺あたりより以東、以南の部分をさします。

この地域はほぼ全域がディナル・アルプス山脈に属していて、急峻な山地がそのまま海に入り込み、複雑な海岸線を形成しているのが特徴。そのため、山の傾斜地や、島や、山地を削って流れる川が作る扇状地やデルタ、そして山に囲まれた盆地など、ブドウを育てる環境も様々なら、他の種とほぼ隔離された状態で独自に環境に適応した固有種の種類も豊富と、クロアチアワインを楽しむ上では外せない、非常におもしろい地域です。

ダルマチアは基本的には赤ワインリージョンと言ってよく、その中でも圧倒的に栽培シェアが多いのがプラヴァッツ・マリ(Plavac Mali)。特に、ペリェシャツ半島にあるディンガチ(Digač)地区とポストゥプ(Postup)地区のプラヴァッツ・マリは評価が高く、これら 2 つのマイクロ・リージョンは、クロアチアで最も早く EU の原産地名称保護制度対象に選ばれています。

プラヴァッツ・マリ以外に、ダルマチアで広く栽培される赤ワインブドウ種には、バビッチ(Babić)、ツルリェナック・カシュテランスキ(Crljenak Kaštelanski、別名ジンファンデル、プリミティーヴォ、トリビドラグ、プリビドラグ等)、プラヴィナ(Plavina、別名プラヴカ、プライカ)などがあります。プラヴァッツ・マリを含め、これらは全て近縁にあたる固有種で、より長い歴史のある古い品種、ツルリェナック・カシュテランスキを親のいずれかとして派生したものが多いです。

白ワインは赤ワインよりずっと生産量が少ないですが、こちらも個性的な固有種が多くあります。特に多く生産されているのは固有種のデビット(Debit、別名チャラパル、プリィジャナッツ)とマラシュティナ(Maraština、別名ルカタツ、マルヴァジヤ、クリゾル、ヴィシャナ、マルヴァジア・デル・ キャンティ等)。よりレアなものだと、イモツキ地区の固有種クユンヂュシャ(Kujundžuša、別名ジュタッツ、トゥヴルダッツ)、フヴァル島固有種のボグダヌシャ(Bogdanuša)、コルチュラ島固有種のポシップ(Pošip)やグルク(Grk)、ヴィス島固有種のヴガヴァ(Vugava、別名ブガヴァ Bugava)、ドゥブロヴニク周辺地区の固有種マルヴァシヤ・ドゥブロヴァチュカ(Malvasija Dubrovačka)など。

白ワインについては、デイリーワインとして親しまれるデビットとマラシュティナ、そして高級品として幅広い人気を集め、コルチュラ島以外での栽培も広まりつつあるポシップをのぞいて、ダルマチアの白ワインの多くは、その場所に行かないと手に入らないものばかり。それぞれ非常に個性的な味わいや香りがあり、それを味わうためだけに旅をする人もいるほどです。
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日本で買えるのは…?

クロアチアのワイン、まだまだ日本ではレアもの。今後少しずつ増えていくことを期待しながら、いつも筆者が利用しているところをご紹介しておきます。

【Amazon】

Amazon で「クロアチアワイン」で検索するとけっこう見つかります。…ので、サーチボックスを貼っておきます!

ちなみに Amazon でよく買っているのは「イロチュキ・ポドゥルミ トラミナッツ」、「ヴィナリヤ・ディンガチ ディンガチ」「ヴィナ・プンタ・スカラ プラヴァッツ・マリ」あたりです。

【エノテカ・オンラインショップ】

エノテカはクロアチアワイン以外のワイン購入でよく利用するのですが、探してみたらこちらがありました。同じものが Amazon にもあるので好きな方でご購入されるとよいかと。※画像をクリックするとエノテカに飛びます。両方とも、ヴィナ・プンタ・スカラのワインです。

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上記に加え、クロアチアワインはわりとイベント販売の形式が多いので、イベントをチェックして買いに行ったりもしています。Facebook の日本クロアチア友好協会でも、把握している限りのイベント告知を行っていますので、そちらをチェックすると見逃さずに済むかと!

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