​ 旧総督邸/歴史文化博物館: Rector’s Palace

ドゥブロヴニク共和国時代旧総督邸だった建物は、現在、歴史文化博物館として一般公開されています(英語名称: Cultural History Museum in the Rector’s Palace)(*1)。

この総督邸は、独立国家だったドゥブロヴニク共和国総督の住居兼オフィスです。また、総督の住居とオフィスに止まらず、小評議の議場をはじめとする政府の各種機能の拠点、裁判所、武器庫、火薬庫、監獄なども兼ねており、まさにドゥブロヴニク共和国行政の中心点だったのです。


旧総督邸は、その歴史の中で、火事、貯蔵してあった火薬の爆発、地震などにより、幾度となく大きなダメージを受けてきました。そのため、数世紀に渡って、数々の建築家による修復、再建が繰り返されています。

その結果、ゴシック、ルネサンス、バロックなど様々な建築様式が一つの建物の中に混在する、現在のユニークな姿になりました。

中世においては独立国家だった時代のドゥブロヴニクは、当時世界に名だたる大国であったヴェネツィア共和国、オットーマン帝国、ハンガリー王国(後のオーストリア・ハンガリー帝国)などに周囲を取り囲まれており、その中で独立を守るためには、様々な工夫と外交手腕を駆使する必要がありました。

内政についても、数々のユニークな仕組みを持っており、総督の選出、任期もその一つ。強大な権力が総督一人に集中することを避けるため、なんと、毎月、一定の条件を満たした貴族層から総督を選挙で選出していたそうです。選ばれた総督は、任期中は原則外出禁止。この総督邸にこもりきりになって、公務に没頭しなくてはなりませんでした。

自分で裁判結果を伝え、投獄した犯罪者が自分の住まいの下の監獄にいる状態で過ごす一ヶ月。いったいどういう気持ちになるものなのでしょうか…?

なお、総督邸には、今も、その当時の様子が伺える文言が刻まれています。曰く、「Obliti privatorum publica curate(Forget your private affairs, tend to the public concerns)」…つまり、「私的関心事は忘れ去り、公的関心事に腐心せよ」ということになります。総督邸の入り口にありますので、ご訪問の際は探してみてください。

さて、総督邸は昼間見ても十分にきれいですが、夜はまた別の美しさがあります。仰々しいライトアップなどはされていませんが、周囲のレストラン、教会、バーなどから溢れてくる光と音楽が総督邸前を満たす情景、独特の味わいがなんとも言えません。

ドゥブロヴニク交響楽団のコンサートを始め、音楽会などのイベントのステージとして利用されることも多いので、そういった場面に出くわしたら、ぜひ足を止め、この街の空気を思い切り堪能してください。


【展示物】

総督邸が実際に使用されていた時代の家具、絵画、彫刻、衣装など、および海運国家として繁栄したラグサ共和国時代に収集された製品や器具など様々なものが展示されています。博物館としては小規模ですが、歴史や建築に興味のある方には面白い場所なのではないでしょうか。当時輸入されたらしい、日本の九谷の壺などもいくつかあります。まさかこんなところで日本に出会うとは。ちょっとわくわくしますね。

なお、特別展示や、コンサートなどのイベント(総督邸前のファサードの部分が使われます)が開催されることもあるので、ご興味のある方はホームページを確認してみてください。


【営業時間】*2017 年 6 月現在

  • シーズン中:
    • 月〜土 9:00-13:00, 16:00-17:00
    • 日 9:00-13:00
  • シーズンオフ:
    • 月〜土 9:00-13:00

*営業時間は変更になることがあります。最新の情報は現地で尋ねるか(ドゥブロヴニクカードまたは美術館共通チケットで入れる施設ならどこでも最新情報を把握しています)、公式サイトでご確認ください。


(*1) 2015 年からリノベーションのためしばらく閉鎖されていましたが、2016 年 6 月初旬にリノベーションを終えて再度一般公開が始まりました。

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