【レビュー】トラットリア・カプリッチオ: Trattoria Capriccio

ドゥブロヴニクで特にロマンティックな場所とされる、灯台のある防波堤、ポルポレラ(Porporela)。

旧港の端のポルポレラに向かう途中で城壁を見ると、一箇所、小さな通用門。こちらをぬけた先には、一方が水族館、もう一方がドゥブロヴニク大聖堂につながる細い道があります。

人通りもまばらなこの一画にあるレストランが、今回ご紹介する トラットリア・カプリッチオ(Trattoria Capriccio)。地元の友人も「絶対おすすめ」と太鼓判をおすイタリアンレストランです。


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iStock. by Getty Images ポートフォリオ: marimjx
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カナダでの修行も経験、新しい感覚のおしゃれなイタリアン

トラットリア・カプリッチオは、カナダを始め、ドゥブロヴニクでもいくつかのレストランでの修行を経験したシェフが、自分の夢を実現するために開いた小さなお店。修行時代には、イタリアンだけでなく和食の調理の経験もあるそうで、イタリアンをベースにしながら、シェフの経験を活かした創意工夫あふれる個性的なメニューが魅力です。

アドリア海を挟んで向かいあうイタリアとクロアチア沿岸部。歴史上深いつながりがあり、食べ物もイタリアの影響を強く感じさせるものが多いです。とは言っても、クロアチアのイタリアンは本場のものとはかなり趣が異なり、独自の発展を遂げています。25  年ほど前までは社会主義国家ユーゴスラヴィアの一部だったこともあり、クロアチアのイタリアンはより素朴で、かつ、イタリアだけでなくハンガリーやオーストリアなどの大陸側の影響、およびトルコやギリシャなどを含めた地中海料理の影響も強く、どこか前時代的な懐かしさ、素朴さを感じさせる雰囲気があることが多い。

こちらのトラットリアは、そんなダルマチアのイタリアンらしい良さも感じさせつつ、若者らしい感性が光る個性のあるお店。味はもちろんのこと、彩り鮮やかで、目でも楽しめるメニューが揃っています。
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運命の出会いと開店までのエピソード

こちらのレストラン、目立たない、人通りの少ない場所に隠れています。シーズン中でも人通りが多くないこの場所になぜお店を構えたのか、と質問してみたら、とても素敵なエピソードを聞くことができました。

実はこのお二人、上述のように、地元ドゥブロヴニクを離れ、カナダに居を移して夢を追っていた時期があるそうです。しかし、そんな中で旦那さんが体調を崩してしまいます。医療、療養のの負担により苦渋の決断を余儀なくされ、やむなく、家族のサポートの得られる地元ドゥブロヴニクに帰ってくることになりました。

しかし帰国後も、旦那さんは、家族を支えるため、そしていつか自分の店を持ちたいという夢をかなえるため、ドゥブロヴニク周辺のレストランでシェフとしての修行を続けます。しかし、まだ回復には程遠い体調を押して仕事に励む日々の負担は重く、なんと、2 年弱の間に 3 回も倒れ、長期の入院を余儀なくされることがあったそうです。

しかしこの 3 度目の入院時、旦那さんに予想だにしていなかった奇跡が!同じ病院に同時期に入院していて親しくなった方が、現在このお店のある場所にお店を構えていた先代のオーナーだったのです。しかも、ちょうどお店を人に譲って引退することを考え、譲る相手を吟味しているところでした。観光客の多いドゥブロヴニクの旧市街のこと、買い取りたいという申し出は数多くあったようですが、お金のために思い出の場所を売り渡すようなことはしたくない、とお眼鏡に叶う人が現れるまで結論を先延ばしにし続けていたところだったんだそうです。

病院でなんの下心もなくたまたま出会った誠実で真面目な旦那さんはこのオーナーに見込まれ、長年の夢だった自分のレストラン開店が実現することとなりました。旦那さんの体調の回復を待って開店にこぎつけたのが 2 年ほど前のこと。それ以来、夫婦力をあわせて、少しずつ、自分たちの理想とするお店を作り上げてきているそうです。

また、不思議なことに、この出会い以降、旦那さんの体調はめざましく回復。今もまだ万全ではないそうですが、入院するような大事に至ることはなくなったのだとか。ご夫婦も、居合わせたご友人も、きっとこれは何かの運命で、志半ばでドゥブロヴニクに帰ってくることになったのも、入院するほど体調を崩したのも、意味があってそうなったことなんだよ…としんみり語り合っていました。本当に、運命的なエピソードですよね。頑張るお二人、思わず応援したくなってしまいます。
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美味しいもの好きによる、美味しいもの好きのための隠れ家

さて、運命的なエピソードもさることながら、こちらのお店の魅力は何と言ってもお料理。

「美味しいものが好き!美味しいものを楽しんでくれる人に思いっきり美味しいものを味わってほしい」という気持ちのもと、工夫し、心を込めて準備したお料理は盛り付けもおしゃれで、味も確か。パンの付け合せのオイルからデザートまで、飽きることなく美味しくいただけました。好きで作っているものって、やはり味にもでるのでしょうか。

独特の工夫はあるものの、前衛的で頑張っているレストラン(ドゥブロヴニクで言うと 360 とか スタラ・ロザ あたり?美味しさよりもオリジナリティやスタイルの追求を感じさせる)ほど主張しすぎず、美味しいこと、楽しめることを追求する、地に足についた感じが心地よい。ドゥブロヴニクでいうと、Gusta Me とか Pantarul、それからツァヴタットの人気店、Bugenvila あたりが好きな方だったら気にいるのではないでしょうか。

旅先でも、ガイドブックに載っている有名店巡りより、ちゃんと美味しいものを食べたい方、ぜひ足を運んでみてください。
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アクセス

旧港に出て、城壁に沿って聖イヴァン(聖ジョン)要塞まで進んで行くのが一番わかりやすいです。城壁に一箇所小さな通用門のような穴があります。そこを抜けてすぐ、左斜め前くらいにあります。水族館の手前です。

旧港に出ない場合は、ドゥブロヴニク大聖堂を背に旧港側を見ると、ポンタ門の右手に細い路地があります。この細い路地の先にトラットリア・カプリッチオ、そしてその先に水族館があります。


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