ドゥブロヴニク/ダルマチアの食べ物

ドゥブロヴニクのあるアドリア海沿岸南部、ダルマチア地方の食べ物は、土地柄、イタリア、スペイン、ギリシャなどの地中海料理の影響を強く受けています。

オリーブオイル、ナッツ、フルーツ、野菜類をふんだんに使った健康的な食べ物が多く、アドリア海でとれるイカやタコ、牡蠣やムール貝、魚など、新鮮な海の幸は、ドゥブロヴニクの楽しみの一つ!
もちろん、肉類も鶏、豚、牛、羊と地産の肉料理がたくさんあり、プロシュート(*クロアチア語だとプルシュートの方が近いです)、それにチーズなども絶品。

素材の味を活かした素朴な料理が多く、日本人には馴染みやすいと感じられそうです。


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食材編

オリーブオイル(Maslinovo Ulje: マスリノヴォ・ウリェ)

クロアチアワインと同様、クロアチアのオリーブオイルも、世界的に名声を轟かせているとはいえなず、知る人ぞ知る秘密の宝物のような存在です。

ダルマチアでも、なんと青銅器時代の遺跡からオリーブの種が出土するという歴史を誇り、ワインと同様に、オリーブオイルもこの土地に適した固有種が生き残って栽培され続けているそうです。

なお、スーパーだと、EU の他の国で大量生産された安いオリーブオイルが売られていることが多く、クロアチア産のものは見つからないことが多いです。
良質なクロアチア産オリーブオイルを入手したい場合は、市場にいくか、Uje などのオリーブオイル専門店をチェックするのがおすすめです。


生ハム(Pršut: プルシュート)

クロアチア産の生ハム。

イタリアやスペインのものともまた少し違った味わいですが、クロアチアの生ハムも美味しい!
癖のあまりないやさしい味わいで、チーズやオリーブ、それにワインと一緒に食べるとたまりません。

ドゥブロヴニク近辺でプルシュートの名産地として知られているのは Drniš(ドルニシュ)という小さな山間の街。アドリア海沿岸部に特徴的な冬場の暴風、ブーラがこの生ハムの熟成と乾燥を見事に仕上げてくれるそうです。


チーズ(Sir: スィル)

クロアチアには美味しいチーズがたくさんありますが、特に世界的な名声を誇るのがバグ島で作られるクリーミーな羊乳チーズ、パシュキ・スィル(Paški sir)

パグ島はたくさんあるクロアチアの島の中でも、パグ島は土壌が特に痩せていて、普通の牧草は育ちにくく、かわりに乾燥や塩気に強いハーブ類の比率が多くなっています。
ここで育つ羊はそんな野生のハーブ類を食べて育つため、ここの羊乳はもともとハーブの芳醇な香りがあるそうです。

全くの余談ですが、ドゥブロヴニク近辺で牧場を営む知人によると、羊は体が小さく、乳搾りは指先のみでする形になるため、ものすごく大変らしい。
その分希少でもあるので、見つけたらぜひお試しを。

パグ島のチーズ以外でも、市場に行くと近所で作られたフレッシュなチーズや、チーズ農家が作ったクロアチア産チーズなどが沢山おいてあります。
味見させてくれることが多いので、市場をぐるっと回ってから、良さそうなお店の前で「うーん」などとやってわかりやすく迷ってみましょう。

そうすると、「味見してみて」とちょっとくれることが多いので、納得の味だったらぜひガツッと買って、存分に楽しみましょう。


テナガエビ(Škampi: シュカンピ)

アドリア海沿岸でよく食されているテナガエビ。
グリルやブザラ、パスタなど、さまざまな料理に使用されています。甘みがあっておいしい!

個人的なおすすめはブザラ(Škampi na buzaru)。

ガーリックオイルで炒めてから、トマトソースと絡めたもので、シュカンピの味がストレートに味わえます。
出汁がしっかり出たトマトソースをパンにつけると 2 度おいしい。

手づかみで殻を外して食べる、パンをソースに浸すなど、場所によってはちょっとお行儀が心配になるような食べ方をしても、おおらかなダルマチアでは割と大丈夫。食事を思いっきり楽しみましょう。


タコ(Hobotnica: ホボトニツァ)

アドリア海沿岸部ではタコはお馴染みの食材。

タコのサラダ(salata od hobotnice、サラタ・ナ・ホボトニツェ)はダルマチア沿岸の都市ならどこに行ってもあるほど。
とにかくポピュラーな一品です。

このサラダのタコはびっくりするほど柔らかく、食べやすい。
日本では、タコというと固く歯ごたえがある仕上げにすることが多いですが、ダルマチアでは歯で簡単に噛み切れる柔らかさ。

そして、このサラダ、タコ率がやたらと高く、野菜の方がむしろ控えめ。タコのぶつ切りに野菜で彩りを添えたくらいのことも。

サラダ以外にも、後述のペカ、それに新しいメニューではすり身にしてバーガー仕立てにするなど、様々なメニューで楽しまれています。


イカ(lignja: リグニャ & Sipa: シパ)

タコと同様、イカもアドリア海沿岸部では一般的な食材。

グリルや炒めものにしたり、またはイカ墨をリゾットにしたり、こちらもどこに行ってもあるレベル。
地元の人にも、観光客にも大人気です。

こちらもタコと同様、日本のイカとは違った食感で仕上げるのがこちらのスタイル。
特にイカのグリルは、本当に柔らかく、歯で簡単に噛み切れるふっくらとした仕上がりです。
グリルする前にオリーブオイルに絡めるのですが、もしかしてそれがコツなのでしょうか?

味付けはシンプルに塩コショウ。
オリーブオイルにハーブの香りがついていることもありますが、基本的に素材勝負の一品です。

なお、「イカ」というと、ツツイカとコウイカとあり、日本では「イカ」と一緒にされがち。
しかし、こちらでは別物のようです。
名前も異なり、ツツイカはリグニャ(lignja)、コウイカはシパ(sipa)。

イカ墨たっぷりのコウイカは、リゾット、パスタ、それにイカ墨を練り込んだ黒いパンやパスタなど、ツツイカとはまた違ったレシピで楽しむことができます。とれたてのイカ墨のリゾットは磯の香りたっぷり、コクがあって最高です。


牡蠣(Camenice: カメニツェ)

クロアチアの牡蠣は、日本で主流のマガキとは異なる、ヨーロッパヒラガキという平べったい牡蠣。
クリーミーさにはかけますが、サッパリとして非常に美味しいです。

ドゥブロヴニクから約 1 時間ほど西に行ったところにあるストン、およびマリストンが有名な牡蠣と塩の産地なので、ドゥブロヴニクでは鮮度、質ともに非常によい牡蠣をいただくことができます。

牡蠣は通常生で食され、火を通した料理はあまりありません。
産地のマリストンではグリル、スープなどが提供されることがありますが、メインはレモンだけでシンプルにいただく生牡蠣。
臭いではなく、潮の香りとしかいいようのない、清々しい海の香りがあります。

実は、日本の牡蠣の「生食用」「加熱用」の主な違いは、牡蠣が育つ海の海域の水質の違い。誤解されがちですが、鮮度の問題ではないんです。

ストンの牡蠣の養殖場所,マリストン湾の周りは保護森林。
食あたりの原因となる生活排水の流入もほとんどありません。

流れ込んでくるのは、生活排水どころか、石灰岩質で、洞窟や鍾乳洞を通って流れ込む清涼なミネラルウォーター。

食あたりは牡蠣を食べる上で常に気になるもの。過剰な心配をせず、好きなだけ牡蠣を楽しめるのは、牡蠣好きにはとてもうれしいことです。
クロアチアの友人が「牡蠣を食べると、海をそのまま食べてるような気がする」と言ったことがありましたが、まさにそんな風味。

ドゥブロヴニクにも良いレストランはありますが、余裕があれば、ぜひマリストンかホディリェに出向いて堪能していただきたいです。


食べ物・料理編

アイヴァル (Ajvar)

クロアチア、セルビアで日常的に食卓に出てくる、赤いパプリカをベースに、ガーリックや塩、なす、唐辛子などを入れてつくる伝統的なソース。

黒焦げになるまでローストしたとてつもない量のパプリカとナスの皮をむき、ミキサーなどで全材料とすりあわせて煮詰めて作ります。
非常に、おいしい。

アイヴァルのレシピや由来などについてはこちらのページでご紹介しています。


ブザラ(Buzara)

「ブザラ」というのは、テナガエビなどの甲殻類やムール貝などの二枚貝を中心としたシーフードの調理方法を指し、アドリア海沿岸で広く取り入れられています。

オリーブオイルにガーリック、魚介類、パン粉、パセリを入れ、白ワインでさっと炒め煮にするのがベーシックなスタイル。

ちょっとトマトペーストを追加することが多いですが、トマトなしバージョンもあります。魚介類の美味しさをシンプルに味わえる一品。
ソースに魚介のおだしがよく出るので、一緒に提供されるパンでしっかりソースをすくって味わいましょう。

シンプルで、素材の味が楽しめる一品です。


ペカ(Peka または Ispod peke: イスポッド・ペケとも) 

炭火にかけた鉄鍋にポテトと肉またはシーフード(羊肉、鹿肉、牛肉、タコなど)を入れ、鉄の蓋をし、蓋の上にも炭を乗せて上下からじっくり火を通す調理方法を指します。

さて、「ペカ」というのはクロアチア語でベル、鐘のこと。
ペカ用のお鍋、蓋が平べったいベルというか、帽子というか、独特の形をしています。
これがペカ(鐘)、またはイスポッド・ペケ(鐘の下)という名前の由来。

この盛り上がった蓋が作る空間に、食材から上がる水蒸気が閉じ込められ、循環します。
その結果、中の食材はしっとり、こんがりの蒸し焼きに…。

調理には時間がかかるため、どこででも食べられるわけではありませんが、食材自身から出てくるスープで長時間煮こまれたペカは絶品。
もし食べる機会があったら是非お試しを!


パシュティツァーダ(Pašticada)

牛肉を赤ワインに漬け込んでからハーブ、野菜、スパイスなどと一緒にじっくり煮込み、ニョッキと一緒に食べるダルマチア伝統料理。

調理にかかる手間暇と時間が膨大なため、レストランなどで気軽に食べるというより、各家庭独自のレシピで楽しむお家の味です。
ただ、もちろんレストランでも、地元料理を売りにしているようなところでは提供されているので、よかったら是非試してみてください。

やわらか〜く煮こまれた牛肉とホームメイドのニョッキの組み合わせは、赤ワインとの相性ばっちりです。


イカ墨リゾット(Crni rižot: ツルニ・リジョット)

シーフードを提供する店でよく見かけるイカ墨リゾット。

コウイカのイカ墨をたっぷりと使ったスープで炊き込んだ真っ黒なリゾットに、ムール貝などの貝類や魚、エビ、コウイカなどが入っています。
レモンとパルメザンチーズをたっぷりとかけていただくのがおすすめ。
お好みでオリーブオイルを追加するのも美味しいです。

イカ墨たっぷりで闇のように真っ黒なものは、イカ墨の美味しさを存分に味わえて非常においしい。
フレッシュなイカ墨で作られたリゾットは、磯の香りと濃縮されたコクがなんとも言えません。

個人的に、ドゥブロヴニク付近で一番おいしいと思ったイカ墨リゾットは、ペリェシャツ半島のホディリェ(Hodilje)にある セオスコ・ドマチンストヴォ・フィツォヴィチュ(Seosko domaćinstvo Ficović)のもの。
もし、マリストンに行く機会があれば、隣村なので、ちょっと足を伸ばしてみてください。牡蠣もいいものを置いています。

ドゥブロヴニクでのおすすめを地元の友人に聞いてみたところ、 Wanda の味が「昔ながらの正しいイカ墨リゾットの味」だそうです。
実際食べてみたところ、確かに、しっかり魚介の味がしておいしい。こちらもなかなかおすすめです。


チェヴァピ、またはチェヴァプチチ(Ćevapi/Ćevapčići)

厳密にはクロアチア料理ではなく、旧ユーゴスラヴィア各国に加え、ブルガリアやルーマニア、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーなど、要するにバルカン半島周辺で広く「国民食」扱いされている伝統的な肉料理。
ローカル色の強いファーストフードというか、クロアチア版ハンバーガーのような存在です。

豚肉、牛肉、ラムのミンチをよく混ぜ、一晩寝かせてからソーセージ状にしてグリルし、上述のアイヴァル、サワークリーム、玉ねぎやトマトなどの野菜を添えて、ピタのようなフラットブレッドにはさんでいただきます。
濃い目の味付けでややオイリーですが、美味しいところで食べると美味しい。

スーパーでもすでに成形済のものが売られており、家庭でも気軽に楽しまれています。