代表的なクロアチアワイン

2500 年におよぶワイン生産の歴史をもつクロアチア。古くはローマ帝国、近世ではハプスブルグ帝国の皇帝にも献上されていたという歴史がありますが、近年、再び、良質かつユニークなワイン産地として国際的評価が高まりつつあります。

固有のブドウ種が多いのが特徴で、独特の風味を持つものも多く、ワイン愛好家の探究心をくすぐります。

さて、この記事では、クロアチア国内で広く親しまれている代表的なワインをいくつかご紹介します。

固有ブドウ種の中には、生産量が極めて限られ、100 % そのブドウだけのヴァラエタルは豊作の年にしか市場にでないものなど、面白いものがたくさんあります。小規模ワイナリー、またはワイン農家ではない農家が自家用につくっているワインなどにであう機会があったら、ぜひぜひお試しあれ。


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白ワイン

ポシップ(Pošip) ダルマチアが誇るプレミアムワイン。

コルチュラ島およびペリエシャツ半島で栽培されており、同じブドウで作っているのに、コルチュラとペリエシャツで全く風味が異なります。

ナッツ系あるいはドライフルーツ系の深みのある香りがあって、軽快ながらフルボディのしっかりした味。

 ヴガヴァ(Vugava または Bugava) フローラルな香りで知られるヴィオニエ(Viognier)種の祖先という説あり。ヴィオニエのと同様、フローラルで甘みがあります。色は美しいゴールド。

熟成された個性的な香りがあるため、より淡白な白ワインとブレンドされることも多い。

ヴィス島で栽培されているものが有名。

 グルク(Grk)  コルチュラ島の固有種。コルチュラ島、およびペリエシャツ半島のごく限られた土地でしか生産されていない。雌株しか存在しない変わったブドウ。

松のような個性的な香りがあり、スッキリとドライ。甘みと酸味のバランスがよく、フルボディでパンチがかなりある。

どっぷりハマる人もいれば苦手な人も。

生産量が少なく、産地以外ではなかなかお目にかからないワインなので、見かけたらぜひお試しを。個人的に Bire というワイナリーのものが特に美味しいと思います。

 マラシュティナ/ルカタツ(Maraština/Rukatac) クロアチア沿岸部で広く栽培される固有種。産地によって、「マラシュティナ(Maraština)」「ルカタツ(Rukatac)」「クリゾル(Krizol)」「ヴィシャナ(Višana)」 など、様々な名前で呼ばれる。

糖度の高いブドウで、アルコール度数の高いワインづくりによく利用される。

また、心地よいフローラルなアロマがあり、ヴァラエタル、ブレンドいずれにも広くファンを持つ。

マルヴァズィヤ(Malvazija)  マルヴァズィヤ、またはマルヴァジア系統のブドウは、クロアチア北部からスロヴェニア、イタリアなどでも広く栽培されている。クロアチアのイストリア半島で栽培されているマルヴァズィヤ・イスタルスカ(Malvazija Istarska)は、このマルヴァズィヤ系統のイストリア固有種です。

イストリア半島は半島内でも山間部、平野部、沿岸部、および周辺の植物相などによって、性質の異なる土壌がパッチワークのように入り混じっているため、イストリア半島のどこを産地とするかで、同じマルヴァズィヤ種のワインでも色、味わい、香りが異なる。

色ひとつとっても、爽やかな緑がかった黄色から「液状の黄金」と表現される金色、オレンジ色のような濃い色のものまで様々なので、興味のある方はぜひ色々な産地、生産者のものを飲み比べしてみてください。

 グラシェヴィナ(Graševina) すっきり、キリッとした味わいながら、ほのかな甘味やはちみつのような香りが楽しめる。フレッシュな爽やかさとしっかりしたコク、味わいを両立したバランスのよい味わい。

グラシェヴィナクロアチアだけでなく、東ヨーロッパの広い範囲で栽培されていて、国や地域によって異なった名前で呼ばれる。例えば、オーストリアでは「ヴェルシュリースリング」(Welschriesling *ドイツのリースリングとは違うブドウです)呼ばれているブドウがグラシェヴィナにあたります。

クロアチアで生産されるワインの中でも特に商業的な成功が期待されるワインで、実際に、グラシェヴィナ種のワインで数々の国際コンクールで金賞をとる生産者もでています。

日本でも幾つか買うことができます。おすすめなのはこのあたり(画像をクリックすると Amazon にとびます)。しかし Amazon、ほんとになんでも売ってますね…。ありがたいですけど。

ポシップ(ヴィナ・プンタ・スカラ)

グラシェヴィナ・プレミアム(イロチュキ・ポドゥルミ)

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赤ワイン

プラヴァッツ・マリ(Plavac Mali) クロアチア、特にダルマチアの代表的な赤ワイン品種としてよく知られている。後述するツルリェナックと共に、カリフォルニアで広く栽培されるズィンファンデルと同じ系統。

晩春から夏にかけての乾燥が高品質につながるため、理想的な気候のダルマチア地方、特にペリエシャツ半島、フヴァル島、ブラチュ島、コナヴレなどで広く生産される。

糖度の高さがそのままアルコール度数に反映するため、生産者によっては 17% もの高いアルコール度数にまで達する。

タンニンが強く、香りはベリー系の華やかでコクのある中にぴりっと胡椒のようなスパイシーさが混合。エージングに適しており、オーク樽で適切に熟成されたものの完成度は素晴らしい。

クロアチア赤ワインの中でも最高クラスのプレミアムワイン、ディンガチ(Digač)やポストゥプ(Postup)プラヴァッツ・マリのワイン。

バビッチュ(Babić) ダルマチア沿岸部、島しょ部の固有種。同地域で広く栽培され、身近なテーブルワイン、ハウスワインを頼むと大量に消費されている。果実の味がよく、食用にも向く。

栽培が容易であまり土地、天候を選ばないため、栽培者、栽培場所によって別のワインに思えるほど味に違いが出る。痩せた厳しい土地で栽培されたもののほうが味がよい。

アルコール度数は高めで、ドライベリー系の香り。色が濃く、赤というより紫に近い。オーク樽で熟成させたプレミアムクラスのバビッチュはコクがあり、味、クセの濃い料理との組み合わせると最高。

ツルリェナック・カシュテランスキ/トリビドラグ(Crljenak Kaštelanski/Tribidrag) クロアチア固有種だが、国外に持ち出され、アメリカではズィンファンデル、イタリアではプリミティーヴォとして知られる。

以前よりズィンファンデルとプラヴァッツ・マリは近縁種では、と考えられて来た。最近の DNA 調査により、ツルリェナック・カシュテランスキがズィンファンデルと同一種、プラヴァッツ・マリはツルリェナック・カシュテランスキと別のクロアチア固有種の子孫に当たることが判明。

類似点が多く、人気もあって病害虫にも強いプラヴァッツ・マリに押され、現在では生産者はほとんど残っていない。

テラン(Teran) イストリアで最も広く栽培される品種。

酸味とタンニンが強く、特徴的なフルーティなアロマがある。

サーブする温度をかなり高めにすると、香りがたち、個性が引き立つ。香りの強いチーズ、熟成したプロシュート、ジビエなどとよく合う。

アルコール度数は低め。エージングにはあまり向かない。フレッシュな若いワインを楽しむのがおすすめ。

テランは、「テラン」という名称を巡って、ここ数年、スロヴェニアとクロアチアの間の小競り合いのネタとなっている(「テラン」という名称をスロヴェニアが EU の名称保護の対象として登録し、クロアチアの農家はテラン種を使っていながら「テラン」としてワインを販売できない状態となっていたため)。

サンシゴット/スシュチャン(Sansigot/Suščan) スサック(Susak)島の固有種。実のつきがよく、病害虫に強いため、現在はクヴァルネル(Kvarner)、ツレス(Cres)、ロシニ(Lošinj)などにも広がった。

スサック島の人口減少に伴い一時期生産量が激減。種の絶滅の危惧から、意識的に生産に取り組む農家が増えたため、現在では生産量は増加傾向にある。

ワインはアルコール度数が低く、甘み、酸味、香りすべてマイルドでバランスがよい。色は深いルビー色で美しい。

赤ワインも、日本で買えるものが幾つかあります。おすすめはこちら(画像をクリックすると Amazon のページに飛びます)。自分でも買って飲みますし、ギフトとしても重宝しています。もっと増えないかな。。。

ディンガチ(ヴィナリヤ・ディンガチ)

プラヴァッツ・マリ(ヴィナ・プンタ・スカラ)


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その他のワイン

ロゼワイン 生産量は限られるが、クロアチア産のロゼワインも存在。

使用されるブドウはバビッチュ、プラヴァッツ・マリ、ツルリェナック、テランなど様々で、色味もオレンジから薄いルビー、桜貝のような美しいピンクなどバラエティに富む。

イストリア、Roxanich の Roxanich Rose、ダルマチア、Miloš の Stagnum Rose、Rizman の Rusula あたり、色も味もおすすめ。

 プロシェック(Prošek) クロアチアのデザートワイン。ストローワイン、つまりブドウを乾燥させ、レーズンにしてから造られるワインの一種。

イタリアの発泡酒、プロセッコと名前は似ているが全くの別物で、同じくストローワインであるパッシートやレチョートなどの仲間。ドライでアルコール度数は高め。

日常的に飲むものではなく、特別なお祝いの時に提供されるもの。子どもが生まれると、その年のプロシェックを買って庭に埋めておき、卒業式や結婚式など、その子どもの特別な日に栓を開ける伝統も。

生産量はかなり限られる。旅行時でも、クロアチアにお出かけの際にお誕生日があるとか、または帰国する前夜の晩餐など、特別な瞬間を祝うためにぜひどうぞ。

さすがにプロシェックは見当たりませんでしたが、ロゼはプラヴァッツ・マリのものが日本でも購入できるようです(↓ 画像をクリックすると Amazon にとびます)。これは画像の通り、ピンクというよりオレンジ色。変わった色ですしキレイですので、話の種としてはおすすめ。ドライで軽いです。

プラヴァッツ・マリ ロゼ(テッラ・マドレ)

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