クロアチアの食べ物: アイヴァル(Ajvar)– レシピあり!

アイヴァル(Ajvar)とは、ローストした赤パプリカを使ったレリッシュ。栄養と旨味がギュッと濃縮されたアイヴァルは、クロアチアを始め、東ヨーロッパの広い範囲で愛される食卓のお供。パンやポテトなどの炭水化物にもバッチリ合うし、お肉やチーズ、特にチェヴァプチチとの相性はまさにファンタスティック。

クロアチアで食事をオーダーして、オレンジ色のケチャップのようなものが付いてきたら、それがアイヴァルです。今回は、とってもおいしいアイヴァルとそのレシピをご紹介します!


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別名「ベジタブル・キャビア」!

アイヴァルは、別名「ベジタブル・キャビア」または「ベジタリアン・キャビア」と呼ばれることがあります。粒々ではないので、見た目からは「キャビア」というイメージはあまりピンときませんよね。

この「アイヴァル」という言葉。語源は、トルコ語でキャビアなどの塩漬けの魚卵を意味する havyar(ハヴィヤル)、つまり、キャビアのこと。実際、このアイヴァル、キャビアの代替品として、作り出されたものなんだそうです。

なぜ、赤パプリカのペーストが「キャビア」と呼ばれるようになったか。その謎の答えは、クロアチアの隣国、セルビアにあります。

19 世紀末まで、ドナウ川の黒海からセルビアの首都、ベオグラードあたりまではチョウザメの一大産地でした。当時のベオグラードでは、レストランはもちろん、一般家庭でもキャビアが食卓にあがるほど一般的な食材だったのだとか。そしてこれこそが、本来のアイヴァル。当時は、名実共にキャビアそのものだったわけです。

しかし、19 世紀末 〜 20 世紀にかけて、相次ぐ労働紛争などの影響で、キャビアの安定供給は徐々に困難になっていきます。キャビアの生産量は激減し、値段は急上昇。食卓のお供として、食材に旨味を加えてくれる便利なキャビアが手に入らなくなって、人々はこれに替わる、安価で、強烈な旨味を持つなにかを求めるようになりました。

試行錯誤の中、生み出されたのが、ローストして旨味を凝縮させた赤パプリカをすりつぶし、ペーストにしたもの。当初は「赤アイヴァル」「セルビアン・アイヴァル」といった名前で提供されていたそうです。まさに、キャビアを代用するための野菜料理だったんですね。

さて、こうして、代替品としてこの世に生まれでた「ベジタブル・キャビア」。キャビア生産の衰退に伴って、徐々に存在感を増してゆき、いつしか、こちらの方が「アイヴァル」として定着していったのでした。
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アイヴァルの味と楽しみ方

アイヴァルのベースは、ローストした赤パプリカとナス。これに、ガーリック、玉ねぎ、唐辛子、レモン汁、ビネガーなどをオプションで加えます。じっくりローストによって引き出された野菜の甘みがぎゅっと濃縮され、濃厚なコクを生み出します。しかし、野菜オンリーなので、もたれることもなく後味はさっぱり。

見た目はケチャップ、またはトマトペーストによく似ていますが、色はオレンジ色。お味は、トマトペーストから酸味と塩味を取り、甘みとコクを追加したような味。野菜の甘味と旨味そのものみたいな感じです。

代表的な食べ方は、肉料理の付け合せにし、ソースのように使う食べ方。チェヴァプチチを頼むと、原則としてもれなくついてきます。サンドイッチ型のチェヴァピでも、お皿に持ったチェヴァピでも、アイヴァルがついてくるのはお約束。ないと物足りないです。

チェヴァピだけでなく、お肉は全般的にアイヴァルと相性ばっちり。炭水化物も同じくばっちり。ごはん…はちょっとやったことがないですが、ポテト、パスタ、ニョッキ、クラッカーの類、すべてとっても美味しいです。フランドポテトは、もうむしろケチャップよりアイヴァルで食べたい。ごはんは、アイヴァルだけではなく、ちょっと塩気のあるものを追加すれば美味しいかも。

また、チーズやクリームとも抜群に合うので、トーストしたフランスパンにオリーブオイルをひとたらし、アイヴァルをたっぷり、それにカイマク(なければクロテッドクリームやリコッタチーズなど)をちょっとのせたら、それだけで立派な一品に!

なお、クロアチアでは誰もやっていないですが、アボカドとも合うので、アボカドトーストのベースにアイヴァルを使うのも個人的にめちゃくちゃおすすめです。香りの強いチーズ OK な方はゴルゴンゾーラなどを一緒にトーストするともう!!朝からワイン飲みたくなりますね。

さらに、旨味が強いので、スープなどの隠し味としても大活躍!調味料としても使えて、ソースにもなって、そのまま食べても美味しいってすごいと思いませんか?アイヴァル、恐るべし。
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アイヴァルの作り方: 基本のレシピ

基本的には、「野菜をローストする → 混ぜてペーストをつくる → 煮詰める」だけで完成です。

ただ、ローストしたパプリカの皮を向いたり、煮詰めたり、と手間と時間はかかります。そこで、クロアチアの家庭で自作する場合は、文字どおり山ほどパプリカを買い込んで、一気に大量生産が定番。大量生産した方がダシもたくさんでて、お味も良くなるように思います。

日本では赤パプリカがお高いので、本気の大量生産はちょっと難しいかも…。安売りしている時があったら、まとめ買いして作成しましょう。下の量、1 kg でも多く感じると思うのですが、クロアチアだと 5 kg とか 10 kg とか行きますので、1 日仕事になります。

Viator


【材料】

  • 赤パプリカ: 1 kg
  • ナス: 250 g
  • ガーリック: 1 〜 2 片
  • 塩: 適宜
  • オリーブオイル: 50 ml くらい

この他、チリペッパー、レモン汁、玉ねぎやチャイヴなどもお好みで。ナスなしでつくっても OK。



【作り方】

  1. 焼きナスと同じ要領で赤パプリカとナスを丸ごと熱したグリルに入れ、表面が黒く焦げるまでよく火を通す
  2. 蓋のできる容器に入れ、粗熱がとれるまで放置。こうすると水蒸気が皮と身の間に間に入るため、皮を剥くのが楽になります。粗熱が取れたら、皮、タネ、ヘたを取り除く
  3. 皮、タネ、ヘタを取り除いた赤パプリカとナスにガーリックを加え、フードプロセッサ、または挽肉用のミンサーなどに入れ、ペースト状にする。粗さはお好みで
  4. 大きな鍋にオリーブオイルを入れ、赤パプリカのペーストを加える。火にかけ、弱火〜中火で時々かき混ぜながら煮詰める。3 時間ほど煮詰めるとよい
  5. アイヴァルが煮詰まってきたら、保存用のガラス瓶と蓋をお湯に入れ、10 分ほど煮沸消毒する。その後、ガラス瓶を熱湯から上げ、100 度 〜 130 度くらいのオーブンに入れて乾燥させておく
  6. やけどに気をつけ、素手でガラスに触れないよう注意しながら、ガラス瓶にアイヴァルを注ぎ分ける。縁まで入れずある程度余裕をもたせておく
  7. ガラス瓶に蓋をし、オーブンに戻して 15 分ほど加熱する。そのまま冷めるまで放置する

このようにして出来上がったアイヴァルは、冷蔵庫で数ヶ月保存することができます(ということになっています。筆者は大丈夫だと思っていますが、判断は自己責任でお願いします)。日本のご家庭で作る場合は、魚焼きグリルを使うと美味しく作れます。
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