クロアチアワイン: 歴史と特徴

クロアチアワイン: 歴史と特徴

皆さんは、クロアチアワインを飲んだことはありますか?

国際的には未だあまり知られていないクロアチアワイン。しかし、実はクロアチアは最近、個性的な美味しいワインの産地として徐々に注目を集めつつあります。

この記事では、そんなクロアチアのワインについてご紹介します。

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概要

 

クロアチアのワイン生産の歴史は古く、2500 年ほど前、ギリシャ人入植者によってヴィス、フヴァール、コルチュラなどの島々で始まったのを起源としています。なんと、紀元前のギリシャの文書に、クロアチアのこの地域のワインは最高であると称える言葉が残っているそうです。

その後も、ローマ時代、中世、オーストリア・ハンガリー帝国時代とワイン生産の伝統は続き、経済を支える重要な資源の一つとして様々な地域へ輸出されてきました(*1)。

また、古くからワイン生産が行われているクロアチアには、その後様々なブドウを生み出した原種にあたるものを含め、ここにしかないレアな固有ブドウ種が多く存在します。また、地形や気候もワイン産地としてはかなりユニークなので、個性的なワインが多い。ワイン好きの間で根強いファンがいるのも頷けます。

ワイン産地としての評価も年々高まりつつあり、国際コンクールなどでも非常に高い評価を受けはじめたクロアチア。現在、年間の生産量は約 5 万トンほど、ワイン生産国としては世界 30 位くらいの規模だそうです。


主な生産地と特徴

さて、主なワイン生産地は、内陸部と沿岸部に分けることができます。

大陸部では、生産量の 90% を白ワインが占めています。こちらは隣接するスロヴェニア、オーストリア、ハンガリーなどのワインと類似するフルーティさが特徴。沿岸部においては、北部のイストリアは隣接するイタリア、そして南部のダルマチアはより地中海らしい味わいのワインが生産されています。

沿岸部において特徴的なのが、島嶼部を含むアドリア海沿岸に散在する小規模ワイナリーの存在。

アドリア海沿岸部は、ディナルアルプス山脈がアドリア海に隣接することにより、複雑に入り組んだリアス式海岸が形成されています。そのため、たとえ隣り合う土地であっても、山の傾斜や角度、海との距離、高度などによって、気候や環境が大きく異なることが珍しくありません。そして、そのような違いがブドウの生育に大きな変化を生じさせ、個性的なワインを生み出すのです。

痩せた石灰石質の土地、絶え間なく吹きつける風。複雑な気候の中で、その風土に特化した固有のブドウを使ってワイン生産を行う小規模ワイナリー。もうこれだけでも十分ワイン方向のロマン満載ではないでしょうか?

当たり外れはもちろんありますが、新しい発見には事欠きません。ワイン好きの探求心に火がつくこと間違いなし。地元の人と仲良くなって、「うちの村で一番のホームメイドワイン」みたいなものをもらったりすると、予想に反して本気で美味しくて驚くなど、まあそれはそれは楽しいです。

なかなか日本では手に入りにくいクロアチアワイン、とくにマイクロワイナリーのワイン。クロアチア、そしてダルマチアを訪れる機会があったら、ぜひ色々試してみてください。とても面白いです!
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白ワインと…黒ワイン!?

クロアチア語では、白ワインは bijelo vino(ビイェロ・ヴィノ)、赤ワインは crno vino(ツルノ・ヴィノ)と言います。白はこれでいいんですが、実は赤の「crno」は「黒」を意味します(*ちなみに「赤」は crveno (ツルヴェノ))。

つまり、クロアチアのワインは「白、赤、ロゼ」ではなく、「白、黒、ロゼ」だ、ということになります。地産のワインに色味が濃いワインが多いからなんでしょうか。不思議ですね。

もちろん、英語での注文時は Red wine で大丈夫ですよ。
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おすすめの楽しみ方

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「地元の白ワインをグラスで」というざっくりしたオーダーでいただいた白ワイン。けっこうおいしかったです。パンもおいしかった

クロアチアのワイン、もちろんそのまま飲んでいただいても美味しいものですが、土地にあったブドウで自家用、または周辺の集落での消費用に生産されてきた歴史が長いためか、地産のワインはその土地の食べ物にとにかくよく合うのが特徴です。特にダルマチア沿岸でお食事をされる時はぜひ、地元のワインを試してみてください。「I’d like locally grown wine. What’s on offer?」などと聞いてみるとよいかと思います。

なお、ドゥブロブニクのレストラン、バーなどでは、あまりこだわらなくても、気軽に「ローカルの白ワインをグラスで」程度の注文で出てくるものにあまりハズレがない印象です。予備知識をしっかりつめこんで頭でっかちになっていくより、冒険心をもって聞いたこともないおすすめにチャレンジすると、知られざる自分だけのお気に入りを発見できる楽しみにつながるかもしれません。

「あまり冒険はしたくない、でも美味しくて珍しいワインは試したい」という方、筆者のおすすめ@ドゥブロヴニクは、赤ならペリエシャツ半島産のプレミアムワインであるポストゥプ(Postup)、そして最高峰と言われるディンガチ(Dingač)。白ならコナヴレ産のマルヴァシヤ(Malvasija)。いずれもさっぱりとドライなのに軽やかでフルーティな甘みがあり、後味の良いワインです。ご参考までに。
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ドゥブロヴニク発、日帰りワインツアーもおすすめ

ドゥブロブニクは、西はコルチュラ島とペリエシャツ半島、東はコナヴレとワイン産地に挟まれています。そのため、ドゥブロヴニクには日帰りワインツアーがたくさんあるのです。

人気が高いのが、コルチュラ島・ペリエシャツ半島ワインツアー。クロアチア随一の牡蠣の産地であるストンとマリストン、ペリエシャツ半島のワイナリー、コルチュラ島を 1 日で全部回るという贅沢コンボ。風光明媚なコルチュラ(とそのワイン)、有名なストンの牡蠣、ペリエシャツ半島のワイナリーで終わる 1 日、これはまさに至福。

ペリエシャツ半島は路線バスで自力で行くのも難しくないので、ツアーではなく個人で行っても、ツアーほど効率よくは回れませんが、それはそれで楽しいです。

マイナーだけれども意外な魅力が満載なのが、ドゥブロヴニクのお隣の自治体、コナヴレのワイナリーツアー。マウンテンバイクでワイナリーを訪れ、近くのビーチでゆっくり泳いだり休憩したりという個性的なアクティブワインツアーもあれば、車でぴゅっと行ってゆっくりワイナリーを巡り、ドゥブロヴニク空港のあるチリピで伝統的なフォークダンス見学のおまけつきのツアーもあります。

コナヴレはドゥブロヴニクから非常に近いため、気軽に訪れることができるのも大きな魅力。農業が盛んで、豊かな自然がそのまま残るコナヴレはドゥブロヴニクからすぐという距離が嘘のような、全く別の魅力に溢れています。
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*1: 19 世紀に入って、新大陸から持ち込まれたブドウネアブラムシの被害により、ヨーロッパのワイン生産は壊滅的な大打撃を受けました。

多くのワイナリーがこのために廃業を余儀なくされる中、クロアチアでは、しばらくの間、大きな影響は出ていませんでした。しかし、ついにクロアチアにもブドウネアブラムシが到達。他の各地域と同様、壊滅的打撃を蒙り、たくさんのワイン農家が姿を消していきました。

農地が壊滅し、生活の成り立たなくなったワイン農家の中には、新大陸に渡り、ゼロからワイン生産を始めた方々も多くいました。このクロアチア移民は、アメリカ大陸でのワイン生産の成長に大きく寄与する結果となったと言われています。

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