ドゥブロヴニク発着日帰り観光スポット: コナヴレとツァヴタット

ツァヴタット(Cavtat)は、ドゥブロヴニク旧市街から車で 20 分ほどの距離にある小さな町。
可愛らしい旧市街や、緑あふれる散歩道のある美しい場所で、ヨーロッパの旅行雑誌のランキングなどでよく取り上げられる、知られざる人気スポット。

今回は、このツァヴタットと、この街のある行政区、コナヴレの魅力をご紹介します。


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コナヴレとツァヴタット

コナヴレ(Konavle)は、ドゥブロヴニクの東南にあり、隣国モンテネグロと境界を接する、クロアチアの端にある自治体。
ドゥブロヴニク空港のある村、チリピ(Čilipi)もコナヴレにあります。

コナヴレの中で、一番大きい街にあたるのがツァヴタット(Cavtat)。
コナヴレの総人口 8500 人ちょっとの約 4 分の 1 近い、2150 人ほどがツァヴタットに暮らしています。

農業がさかんで、ドゥブロヴニクに野菜や果物、お肉や乳製品などを供給しているコナヴレ。
観光地然としたドゥブロヴニクから路線バス、およびスピードボートで 40 〜 45 分しかかからない場所にあるとは思えないほど、自然豊かでのんびりした素敵な場所です。


ツァヴタットのおすすめポイント

ツァヴタットは、2 つの半島がちょっと傾いたピースサインのように海に突き出した、特徴的な形をした街。
ピースサインの内側が、外界から守られた静かな細長い湾になっていて、ちょうどこの指の股に当たる部分にツァヴタットの街の中心と旧市街があります。

外海からがっちり守られたこの部分、波風も穏やかなため、海辺にはヤシの並木、そしてオープンテラスのカフェやレストランが多くあり、ドゥブロヴニクとは全く違う南国感が漂います。
ここで眺める夕焼けは、めちゃくちゃキレイ!

この雰囲気は、地元の人からも絶大な支持を得ていて、ドゥブロヴニクに住む人に「私、ツァヴタットの雰囲気、好きなのよね」と言うと、全力の「私も!!!」という肯定が返ってくるのが常。
ツァヴタットの穏やかな海辺で、夕焼けを眺めながらゆーっくりコーヒーを飲む時間、まさに至福のひとときです。


ツァヴタット旧市街

ツァヴタットの旧市街は、上述の 2 つの半島のうち、陸に近い方の、より小さな半島にあります。
この半島、そしてこれに乗っている旧市街はとても小さく、30 分もあればくまなく踏破できてしまうほど。

ですが、この小さな範囲の中に、絶景で知られる墓地や、中世に立てられた歴史ある教会、クロアチアを代表する芸術家の作品を堪能できる場所など、たくさんの見所がつまっています。

2 つの半島には、両方ともに、周囲をぐるっと歩いて回れる散歩道があり、美しい水辺の景色を楽しみながらゆったりと散歩すると、とても穏やかな気持ちになれます。
波の穏やかなビーチもたくさんあり、波打ち際に近い木陰で本を読んだり、泳いだりと思い思いに過ごす人を見ると、これぞまさにヨーロッパのバカンスという感じ!
ヨーロッパの旅行ランキングの常連なのも納得の雰囲気です。


海辺のオープンテラスレストラン & カフェ

ツァヴタットの海辺には、気持ちのいいオープンテラス席のあるレストランやカフェが並んでいます。
今風なおしゃれなお店と、ちょっと昔っぽい、懐かしい雰囲気のところがほどよく混在していて、気分で選べるのもいいところ。

単に歩き回るのも楽しいですし、ちょっとコーヒーだけ、飲み物だけ、という使い方もできるので、お散歩ついでにちょっと一休みするにも便利。

食事には地元、時には自家製の食材を使った、素材の味を楽しめる料理をだすところが多いです。

これはツァヴタットだけではなく、ダルマチア全般そうだと思うのですが、わりとお料理は素材勝負なので、素材の味をダイレクトに味わえるようなお料理を選ぶと当たりが増えてきます。

魚介類やお肉のグリルや、ブザラやペカなどは調理場も味付けもシンプルなのでおすすめ。
お肉は、地元の人は羊をよく食べるので、羊はけっこう美味しいものが多いですよ。


芸術・アート

ツァヴタットは小さい街ですが、規模の割に驚くほどの芸術品に出会えます。

まずは、ツァヴタット出身で、クロアチアを代表する画家であるヴラホ・ブコヴァッツの家。
こちらは美術館になっていて、柔らかいタッチで生き生きと描かれた美しい作品をたくさん見ることができます。

そして、絶景の楽しめるスポットとしても有名な墓地にあるラチッチ廟。
ここに施された装飾、そして彫刻は、こちらもクロアチアで最も有名と言っていいくらい有名な彫刻家、イヴァン・メシュトロヴィッチの作品。

メシュとロヴィッチの作品は、ザグレブやスプリットの街角や、博物館、美術館でもよく見かけるのですが、ツァヴタットのこの環境の中に佇むラチッチ廟の彫刻には、この環境だからこその厳粛さ、清らかさがあって実に美しいです。

この二人の作品以外にも、ツァヴタットの教会や博物館を訪れると、そこここに絵画や彫刻、昔の文献など、展示だったり装飾だったりがあって、こういったものを探して歩くのも、ツァヴタットの楽しみの一つです。

ツァヴタットについてもっと知りたい方は、こちらのページも合わせて見てみてください。


コナヴレのおすすめポイント

山地と、それに囲まれた盆地からなるコナヴレは、野菜や果物の栽培、牧畜、そしてワインづくりなどが盛んに行われている農業地帯。
観光地化はさほど進んでおらず、昔からここに住んでいる人たちが、昔ながらの素朴な毎日を送る場所で、とてものどかです。

海のイメージの強いドゥブロヴニクから車でたった 20 〜 30 分ほどでつく場所に、そのまま飲める(ところもある)湧き水が流れる川や水路がはりめぐらされた渓谷があるんです。
実際に行ってもにわかには信じがたいほどの別世界感。


コナヴレの山中にそびえる鷹の要塞(Sokol Grad)

コナヴレの山中には、鷹の町(ソコル・グラド Sokol Grad)と呼ばれる、小さな中世の要塞があります。

こちら、規模はさほど大きくありませんが、山中の岩場の上に高く積み上げるような形で築かれていて、見晴らしは最高。
まさに「鷹の町」「鷹の要塞」という名前がしっくりくる建物です。

ここは、自治権のある都市国家だった中世のドゥブロヴニク共和国の最重要防衛拠点の一つ。
オットーマン帝国(オスマン帝国、オスマン・トルコ)の版図拡大により、周辺各国が続々とオットーマン帝国の軍門に下り、他のキリスト教圏から切り離されてイスラム教圏の中に浮かぶ島のようになっていました。

圧倒的な外交力を持ち、激動のバルカン半島で唯一、オットーマン帝国に制圧されずに生き残ったドゥブロヴニク共和国(※滅亡はナポレオン率いるフランス帝国の躍進によるもの)。
オットーマン帝国には、献金の代わりに庇護を受ける関係を構築してありましたが、裏で(わりと堂々と)二重スパイ的な動きもしていたので、万が一の備えは万全にしておく必要がありました。

この場所は、コナヴレを通る街道の上にあり、もし敵軍が攻めてきたらいち早く気づくことができ、砲撃も効果的に行えるポイントにあります。
結局、この要塞が当初の目的に使用されることはなかったものの、中世の都市国家の防衛戦略の重要拠点が、そのまま残っている貴重な遺跡であることには違いありません。

また、歴史上の重要性をさしおいたとしても、ここは間違いなく素晴らしい絶景ポイント。
テラスからの、山地から海までを一気に見晴らせる眺めは開放感抜群でとても気持ちがいいです。


リュタ(LJuta)川と周辺の渓谷

コナヴレを流れる川、リュタ川。
クロアチア語で「怒り」を意味する名前は、悪天候の多い冬の様子から名付けられたものだそうですが、怒っていない時のリュタ川は、どこまでも清らかで、むしろ心を静めてくれる存在。

水路がはりめぐらされた流域には、昔は穀物を挽くための水車がいくつもあったそう。
今は現存するものも少なく、現役で稼働しているのは 1 つだけだそうですが、水路にそって散策をすると、いくつか、水車小屋が残されているのを見ることができます。

深い木立に囲まれた渓谷は、夏でも涼しくて過ごしやすく、ドゥブロヴニクの人混みに疲れたときなど、最高の癒やしになります。


ワイナリー&ファーム見学

農業が盛んなコナヴレ。
小さな自治体ですが、生産されているのは、野菜や果物、オリーブ、ワイン、各種のハーブやエッセンシャルオイル、そしてチーズなどとかなり幅広い。

ワイナリーや農園の中には、観光客を受けいれているとこもあり、こぢんまりした家族経営のレストランなどを併設していたり、ファームステイのできる民泊を併設していたりするところも結構あります。

ワインリーツアーはドゥブロヴニク、またはツァヴタット発着のものが結構あって、これを利用すると便利に回れます。
観光情報センターや観光局のオフィスに行くと情報はもらえますし、Viator などのサイトでもすぐ見つかるので、興味のある方は探してみてください。
中には、遊園地にあるような電車っぽい見た目の乗り物に乗ってワイナリーを巡れる、という趣向のものもあってなかなか楽しいです。

ファームステイや農園見学は、ツアーとしてはあまりないものの、こちらも観光局に行くと情報は探せます。
探せないけど興味ある…という方は、現地の知り合いなどに聞いてくれるかもしれないので、Facebook コミュニティの東京クロアチア倶楽部などで質問してみてもいいかも。

筆者はコナヴレが大好きなので、知り合いに紹介してもらった農家で石鹸作りや、エッセンシャルオイルの抽出を見学させてもらうことがあります。
自家製ワインなどもいただきましたが、いつも非常ののどかに、楽しい時間を過ごすことができるので、また行きます😊


素材が違う!素朴でおいしいごはん

農業が盛んということは、当然、新鮮素材をたっぷり使った地元料理が楽しめる、ということでもあります。

一番栄えているツァヴタットのレストラン以外にも、コナヴレには、昔ながらの石造りの建物の、なんとも言えない雰囲気の中、昔ながらの素朴で、素材勝負のご飯を楽しめる場所がけっこうあります。
ワイナリーや農園併設の場所、それから、上の写真のセオスカ・クチャ・チリピ(Seoska Kuća Čilipi)などような、建物の一画が文化財になっていて、観光客を受け入れているような場所などでも、感動的に美味しいもが出てきたりします。

ちなみに、上の写真は現地の友人の結婚式のディナーでセオスカ・クチャ・チリピに行った時のものなので、テーブルアレンジもおめかし仕様。
いつもはもっと素朴です😊
でもご飯はいつもおいしいです。

ダルマチアでは、一般のお家でも、お庭の一画に、レンガ積みの薪オーブンのような、グリルのようなものがあるところが多く、ペカなどはここで作ります。
この直火&炭によるじっくり調理が、素材の味を閉じ込めて、その旨味だけをぐぐっと凝縮した食べものを作ってくれるんですよね…。

ハムもチーズも野菜もオリーブも、なんだったら出てくるお肉まで、全部自家製だったり、近所の人の育てたものだったりする、まさに圧倒的なトレーサビリティ。
コナヴレのおいしいレストランの中には、ドゥブロヴニクあたりのそこそこ高いレストランよりも、ずっと美味しいところがあるように思います。
お料理は素朴ですけれども。

本物のクロアチア料理が出てくる伝統的なレストランで、「ナショナル・レストラン」の称号を受けるコナヴレ随一の高級レストラン、コナヴォスキ・ドゥヴォリ(Konavoski Dvori)も、行くと近くの川の水を引いた小さないけす状のところにマスがいれてあって、これがお料理に出てきたりするわけです。

ちなみに、コナヴォスキ・ドゥヴォリは、在日クロアチア大使閣下も「ここはいい」とおっしゃっていましたよ。

入り口は山の中の隠れ家のような佇まいなんですが、中に入ると、透き通った川がサラサラと流れるところへテラス席がパッと開けていて、ロマンティックなので、けっこうおしゃれランチ、おしゃれディナーに来る人もいたりするんです。
リュタ川流域にあるので、ハイキングついでによってアウトドアな格好だったいりすると、ちょっと気が引けちゃう😅
でも、コーヒーだけでもいいですか、と聞くと快く OK してくれてやさしい。

コナヴレはそんなに裕福な土地ではないので、もうちょっと観光で地元にお金が落ちていってくれたらいいな、と思う反面、このままでいて欲しいな、という思う気持ちがあって複雑。
本当に、この魅力がほどよく維持されていく、サステイナブルな観光がうまく根づいていってほしい場所です。